約 380,675 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2487.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第7話 「night-7」 真っ暗な屋内スタジアムに逃げ込むかのように集まる神姫たち。 航空母艦型MMSのツラギが発光信号でチカチカと合図を送る、すると少し離れた所で重巡洋戦艦型のマキシマとヴィクトリアが発光信号を返答する。 ツラギの艦橋ブロックに将校型のナターリャが寄りかかる。 ナターリャ「発光信号は送ったか?」 ツラギ「送りましたよ、しかしあんな所に配置してどーするつもりですか?こんなに散開してちゃ・・・」 ナターリャ「かまわんさ、それよりも甲板にいるあのバカ共に対空警戒を厳にするようにいっとけ」 ツラギ「アイアイサー・・・」 ツラギが甲板に目をやると、大砲を抱えた悪魔型と砲台型がびくびくと怯えている。 ニパラ「ああーーもうだめだ!みんなあの夜帝にぶっ殺されるんだ」 ルーシ「さっき、巡洋戦艦型のノザッパが巡航ミサイル喰らって一撃で轟沈したぞ!あの巡航ミサイルが空母に命中したら、弾薬や燃料に引火して大爆発を起こして爆沈するな」 ニパラ「縁起でもない!」 ルーシ「どーすんだよ」 ツラギの上空では生き残った艦載機の神姫たちがぐるぐると周回する。 アオイ「スタジアムに着いたぞ」 ツクヨミ「ここからどうするんだ?奴は袋のネズミの俺たちをいつでも好きなように料理できるぞ」 フェリア「奴のレーダー、センサーは優秀だ。共に暗闇の中でも俺たちをはっきりと捕捉できるだろうな・・・さっきの戦いでも戦艦型神姫の砲撃を軽く回避しやがった。フクロウのように目と耳がいい」 戦闘爆撃機型のマレズもうなずく。 マレズ「おまけにあいつはステルス性能も持ってる、この暗闇じゃ奴を捕らえられないし、レーダーやセンサーにも映らねえ・・・どーやって戦うんだよ」 ステルス戦闘機型のアネットが口を開く。 アネット「俺も一応はステルス能力を持ってる神姫だから・・・なんとなく奴の弱点というか欠点はわかるんだけどなあ・・・」 アオイ「なんだよ、教えろよ」 アネット「まあ、奴は夜間戦闘を専門にしている重戦闘機型だ・・・明るいところに引き摺りだせば、怖くねえ」 ツクヨミが呆れた顔で言う。 ツクヨミ「バカ、それが出来れば苦労しねえぜ、今何時だと思ってるんだ?世の中の12時だぜ?夜明けまで戦えって言うのかよ」 アオイ「それまでに全員ぶっ殺されるのがオチだな」 フェリア「・・・・」 バトルロンドの筐体の前にいるオーナーたちはナターリャの行動に疑問を持っていた。 わざわざ、逃げ場のないだだっぴろいスタジアムに逃げ込み、確たる対処方法もない。今現状の情勢を見る限りでは勝機がないことは誰の目にも明らかだ。 野木はたまらずナターリャに問いかける。 野木「おい!!!ナターリャ!ここからどうするつもりだ!!このままでは奴が来て全員嬲り殺されるぞ!」 ナターリャ「そうだな、全員、奴に撃沈されるだろうな・・・このままではな・・」 チカチカと暗闇で青白い光が瞬く。 キュイン!!! シュヴァルはリアパーツの素粒子砲を2連射する。 オタリア「ぐわぎゃあ!」 ドゴオオオン!!! ツラギの前方に護衛としてついていた戦乙女型のオタリアがバラバラに爆散して砕け散る。 □ 戦乙女型MMS「オタリア」Sランク 撃破 爆発したオタリアの爆炎でスタジアムに逃げ込んだ神姫たちを一瞬照らす。 アオイ「き、きたァ!!!」 ツクヨミ「ひいい!」 スタジアムの正面入り口から真っ黒な禍々しいフォルムをした武装神姫が飛び出す。 シュヴァル「敵機動部隊を捕捉しました」 夜神がふっと口元を歪ませ叫ぶ。 夜神「勝ったな!!!この暗闇の中で俺のシュヴァルに勝つことは不可能だ!!!!俺のシュヴァルが夜間戦闘では一番最強だァ!!!!!!!」 ナターリャ「暗闇の中ではな・・・」 ナターリャはパチンと指を鳴らす。 ガコン! スタジアムの巨大な照明がすべて一斉に照らされる。 屋内スタジアムの中はまるで昼間のように明るく照らし出される。 パッといきなり照明がつき明るくなりシュヴァルの暗視センサーは機能を失い、またその真っ黒な機体はくっきりとシルエットを照らし出していた。 シュヴァル「ぎゃああああああああああ!!!」 夜間戦闘を専門に行うシュヴァルのセンサーは優秀だった。精度を極限まで高めていたために急激な光源の変化に耐え切れなかった。シュヴァルはまるで化け物のような声で悲鳴を上げる。 夜神はぽかんと口を開けている。 夜神「なあァ?な、なんで照明が」 砲台型のルーシが思い出す。 ルーシ「あああーーもしかしてさっきノートパソコンでメール送ったのって・・・」 ナターリャ「なあに・・・ちょっと暗かったんで照明をつけただけさ」 ナターリャはくいっとスイッチをつけるマネをする。 ルーシ「す、スタジアムの照明システムにハッキングしましたね!ナターリャさん!」 ナターリャは肩をすくめる。 ナターリャ「さあ?なんのことかなーたまたま照明がついたようだな」 野木「しめた!奴の動きが鈍った!おまけに奴は今、はっきりと目視で捕捉できるぞ!!」 ナターリャはツラギの無線を奪い取って叫んだ。 ナターリャ「重巡洋戦艦型MMSのマキシマ!!!ヴィクトリア、待たせたなヘヴィー級のパンチを喰らわせてやれ!全神姫!一斉攻撃!!!!」 スタジアムの両脇に配置されていたマキシマとヴィクトリアがエンジン音を鳴らして砲口をヨタヨタと飛ぶシュヴァルに照準をつける。 マキシマ「このヴェンパイア野郎めッ!!!!ノザッパや他の連中の仇だ!!ブチ落としてやる!」 ヴィクトリア「主砲一斉発射、ミサイル1番から10番まで発射、ファイヤ」 戦艦型神姫の2人は強力な艦砲射撃をヨタヨタと飛ぶシュヴァル目掛けて行う。 3連ヘヴィ・ターボレーザー砲 4基 2連装ターボレーザー・キャノン 3基 艦首ミサイル発射管 4門 対空ミサイル砲 8門 三連装小型ミサイル発射筒 4基 後部ミサイル発射管 8門 通常の神姫とは比べ物にならない強力な武装による一斉砲撃が行われる。 ビリビリとスタジアムの空気が震えあがり、大気を焦がすレーザーの匂い、ミサイル発射缶が吹き上げる硝煙が充満する。 ズンズン・・・ズズウウズン!!ビシュウーーーーンビッシュウエエーーン!! シュヴァル「う、うああああああ!!!」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>第8話 「night-8」 前に戻る>第6話 「night-6」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1950.html
「ねえおじいちゃん、この店って地下室あるよね?」 「ん? 倉庫に自家発電室に物置部屋が二つな」 ふと聞いてみたの。 「物置っても、片方鍵かかってるの変だよ」 「フム、その内な」 「けちー、今でもいいのー」 どうして教えてくれないの? わたしなにかまずい事言った? ~・~・~・~・~・~・~~・~・~・~・~・~・~ 夜、閉店後。 「……スィーマァ」 「みゅ…どうしたんですか? ますたー」 「名目上第二物置になってる地下室を偵察してきてなの」 「ふぇっ!?」 夜の地下室は不気味だというのに、すすみはあろう事かスィーマァに頼んだ。 「い…いってきますぅ…」 明らかに足がガクガクしてるが、すすみは黙って見送った。 …… 自分サイズの懐中電灯(フラッシュライト)を手に、スィーマァは神姫にとっては少し大きい段差を降りて行った。 消灯後の地下は光源がなく、常に足元を照らしていないと階段から転げ落ちてしまうだろう。 「こわい……怖いよますたー…」 今にも泣きだしそうな丸い目。 でも、オーナーのために勇気を振り絞る。 首を回し入れそうな穴がないかを調べる。 「あ」 扉のとなりにあった小さなセラミックパネルはねじ止めされておらず、奥は…第二物置。 「何で止めてないんだろ…」 疑問を感じつつ穴をくぐるスィーマァ。 … 穴をくぐると、無数のショーケースが目に入った。 誰もいないのにライトアップされており、中身を照らしていた。 「…武装神姫」 ケースより上にある棚にはフルセット・武装セットがずらり。 品薄なアーンヴァルとストラーフ、アークも他と同じだけ数がある。 ふと、ショーケースに近づき中を覘く。 人気商品から聞いたことのないメーカーの品まで何でも置いてあった。 「ああっ!?」 スィーマァの目にとまったのは、信号銃。 でも、それを見る目が明らかに違った。 「カ…カンプピストル! 神姫用も作られてたんだ…!!」 知らない人のために説明しよう。 1930年代にワルサー社がドイツ陸軍の要請に応え、信号銃を小型の榴弾銃にしたものがカンプピストルである。 最終的に軽装甲の車両なら破壊できるほどの威力を保持するようになるなど、ある意味「対物拳銃」といった感じだろうか。 「………」 思わず涎までたらし、目を輝かせながらそれを見つめるスィーマァ。 ムルメルティアのモチーフがドイツ戦車なので、その影響もあるのだろう。 「警報装置は…ない…ね」 使い慣れないアイパッチのセンサーを使い、危険がないことを確認するとそっとケースを開けた。 そしてカンプに手をのばす。 ああ…憧れの品の一つを、いま手にできる。 あと数センチ……。 「何者だ」 後ろから声をかけられ、動きが止まる。 殺気が背中を突く。 「身なりからして野良ではない…、盗人か?」 スィーマァの心は早くも恐怖で覆われていた。 具体的に表すと 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い ってなくらいである(なんだそりゃ) 関係ないが、単語の集まりって怖いよね。 気が弱いスィーマァにこれが耐えられるはずもなく… 「ぴいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」 「!?」 奇妙な悲鳴と共に泣きだした。 「ごごごごごめぇんなぁさぁぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃ」 涙と恐怖のあまりちゃんと喋れてない。 ドタドタドタドタ 地上の方で木製の階段を駆けおりる音、 カッカッカッカッカッカッカッ 少しして地下へ続くコンクリートの階段を駆け降りる音。 ガチャッ ダァンッ! ドアが勢いよく開いた。 「スィーマァ!?」入って来たのはすすみとおじいちゃん。 「まぁすたぁぁぁぁぁっ!?」 号泣したまま飛びつくスィーマァ、すすみのパジャマが涙でぬれてゆく。 「オーナー、私じゃ対処する事が出来ないぞ」 「まぁまぁ、これも経験だよ」 声の主と話すおじいちゃん。 紹介が遅れた。 おじいちゃんの名は古代十三三、この店の店長である。 そして声の主―フォートブラッグ―のオーナーでもある。 「おじいちゃんこの売り場って、それとその子…」 「んー、友だちに話されたらまずいから黙っていたのだよ」 「ええっ?」 十三三は少し首を傾け、目をつむって言った。 「若い子らの間で「あれがあの店にあったぞ!」だの「珍しいものが山ほど置いてあったぞ!」と騒がれると、店が荒れてしまうんだ。だから念には念をと言う訳だ」 「おじいちゃん、そんなにわたしが信用できないの…?」 すすみは呆れざろうえなかった。 彼女はかなり口が固い、それこそ湯煎する前のシジミのごとく。 「いや、どうも今のすすみを掴みきれてなくてな。小さい頃とどうしても被ってしまうんだ」 ふっとため息を吐くすすみ、そして聞く。 「でも、信頼が置ける人なら教えてもいいの?」 「それは勿論さ。ここはしっかり"理解している人"のための売り場だからね」 十三三は手を伸ばし、フォートブラッグを手にのせすすみの前へ。 「紹介しよう、"ナァダ"だ。すすみが来る前から店を手伝ってもらっている」 「宜しく、お嬢」 "お嬢"という呼び方はどこで習ったのか、気になるところだが。 「よろしくね。…ほらスィーマァ、もう怖くないから自己紹介」 「うう……、スィーマァです」 若干怯えつつ、手をのばすスィーマァ。 ナァダはその手をしっかりと握った。 「宜しく、スィーマァ」 そんな小話を繰り広げるは、22 10分の「古代モデル店」であった。 特攻神姫隊Yチーム?に戻る トップページ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1901.html
{ルーナと沙羅曼蛇} クリナーレとパルカと一緒に走り続けながら次の場所に向かう。 両足の血液循環が早くなり心臓もバクバクと動く。 肺は酸素を欲しがりフル活動。 ヤッベェ、もう疲れてきちまったぜ。 「お兄ちゃん!あのシャッターて、もしかして!!」 パルカが言う先を見ると廊下の右側に大きなシャッターがあった。 パルカやクリナーレと同じ形に大きさも同じ。 違うと言えばデカデカと、シャッターに『Two』と書かれていたぐらい…。 いや、違う! シャッターが開いている! これはいったい何が起こったのだろうか。 俺達が来る前にシャッターが開いてるという事は…まさかすでにルーナは破棄されたのか!? クリナーレとパルカを援護させながら俺はシャッターに向かって走り中に入る。 「ッ!?…ヒデェ…」 シャッターの部屋の中は酷い惨状だった。 人間の死体がテンコ盛りだったのだから。 ある死体は内臓を地面にブチ撒き倒れていたり、またある死体は手足が無かったり頭が無かったり。 他にも酷い死体は腐る程あるが、これ以上の説明は不要だ。 しかしこれはいったい誰がヤッたのだろうか。 ウッ、あまりにもグロテスクだから気持ち悪くなってきた。 「あたしがヤッたんですわよ、ダーリン」 「その声はっ!?」 突如声がしたので聞こえた方向を見ると、そこには二刀のレーザーブレード持った血塗れのルーナがいた。 よかった…無事だった。 でもまさかルーナがこの死体の数分をヤッたというのか。 本人はそう言ってるし…本当にブッ殺したのだろう。 いや、これは『殺し』というより『皆殺し』『残虐』『殺戮』と言った方が正しい。 武装神姫一体でここまで人間を殺す事が出来るのは無理ではないのだろうか…。 やはりツバァイとしての能力かもしれない。 これでルーナが今までバトルした時に余裕綽々で闘えていた事に納得がいく。 でもここで一つ疑問が起きる。 クリナーレ、パルカと同じく拘束されていたはずだ。 いったいぜんたいどうやったのだろうか。 「あたしはシャドーと同じ能力がありますの。レベルは中の下ですが」 「シャドーと同じ…あ、そういう事か!」 ルーナに言われて解った。 シャドーというのはシャドー=アンジェラスの事で、能力が同じという事はネットワークシステムを支配できるという事になるのだ。 シャドーはそーいう能力があるのは知っていたが、まさかルーナにも出来るとはな。 そしての能力を使って自力で大きな試験官から脱出し、敵である人間を殺しまくったということだ。 「お前、滅茶苦茶に強いんだな」 「アインお姉様に比べればこの程度、ヒヨッコ並みのレベルですわ」 俺は右手の手の平にルーナを乗せて近づける。 血塗れになっている体を左手で拭き取ろうとしたら、ルーナが人差指に抱きついてきた。 「おいおい、抱きつかれた吹けないだろうが」 「嬉しいんですわ。ダーリンがあたしを助けに来てくれた事が…」 「当たり前だろ。それにクリナーレやパルカもいるぜ」 「あら、それは朗報ですわね。アンジェラスお姉様は…まだのようですわね」 そりゃそうだ、まだアンジェラスを助け出していないのだから。 でもこれで三人目を助け出すことができた。 しかもアンジェラスの次に強いルーナだ。 これでアンジェラスの所まで難なく行きそうだぜ。 「それは期待できなそうですわ、ダーリン」 「えっ!?それはいったいどいう」 俺が言い切る前に突如とルーナの姿消えた。 そしてルーナが消えた同時に後ろから人間の叫び声が聞こえた。 声が聞こえた方角はシャッターの外。 俺はすぐさまシャッターの部屋から抜け出す。 すると。 「沙羅曼蛇の舞!」 <…燃やし…尽くす> ルーナが武装した人間を燃やし殺していたのだった。 沙羅曼蛇の舞とは、使用者の神姫の周りに炎渦が取り囲み、神姫そのまま状態で蛇のように突進し、敵を斬刻む攻撃。 さらに火炎の炎によって敵を斬刻むだけではなく火傷させる自動追加攻撃がる。 通常攻撃の場合はある程度相手距離を保ちつつ、隙あらば一気に敵の懐に飛び込み近接攻撃する。 因みに剣を振るたびにレーザーみたいな炎が飛び出すので飛び道具としても使える。 ただしこのワザはかなり体力を消耗をするので普段は使わない。 でもルーナはなんの躊躇い無く攻撃した。 しかも人間に対して。 攻撃を受けた人間は死ぬか炎によって燃えながら焼死していく。 ウッ、人間の体が焼けた匂いが鼻につく。 イヤな匂いだぜ。 ていうか、いつのまに沙羅曼蛇を装備していたんだよ。 消えると同時に俺から奪ったとしか考えようがないがな。 「…フゥー。これであらかた片付きましたわね」 「ルーナ、お前…」 一息をついてるルーナに近寄るとルーナは苦笑いした。 「あたしは簡単に人間を殺すことができる神姫ですわ…気持ち悪いですよね…」 俯き悲痛な声だった。 どうやら俺が人間を殺す神姫が嫌い、だと思っているみたいだ。 いつも人をチョッカイだして笑うルーナがこんな風になるんなんて。 心境的に辛いのだろうか。 でも俺が応える言葉はハナッから決まっている。 「ルーナはルーナだ。例え人間をブッ殺す神姫だろうが、俺はルーナの事が好きだ」 「ダーリン…」 「それにシャドーみたくむやみやたらに人間を殺さないだろ。ちゃんとした常識があるんだからルーナの事を嫌ってりしないぜ」 俺は右手をサムズアップして、いつものニヤリ顔をルーナに見せる。 するとルーナは俯きから顔を上げて。 「あたしはダーリンにこんなにも愛されて…幸せ者です!さぁ、行きましょっ!!アンジェラスお姉様がいる所へ!!!」 ルーナが元気よく先導する。 どうやらルーナはいつも通りのルーナに戻ったようだ。 そして俺は戦闘に疲れきったクリナーレとパルカを胸ポケットに入れルーナの後を追う。 後は残り一人! 待ってろよ、アンジェラス! 「(c) 2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しています。」
https://w.atwiki.jp/2chbattlerondo/pages/296.html
アップデート履歴2007 http //www.shinki-net.konami.jp/support/updata/update-rireki.html 2010 2009 2008 2007 Ver1.25 (2007.12.28)不具合修正 Ver1.24 (2007.12.26)不具合修正 Ver1.23 (2007.12.21)新要素追加 ゲームバランス調整 不具合修正 その他 Ver1.22 (2007.12.10)不具合修正 Ver1.21 (2007.11.29)新要素追加 ゲームバランス調整 不具合修正 その他 ver1.20 (2007.11.01)不具合修正 その他 Ver1.19 (2007.10.31)新要素追加 ゲームバランス調整 不具合修正 その他 Ver1.18 (2007.10.18)不具合修正 Ver1.16 (2007.10.3)不具合修正 Ver1.15 (2007.10.1)不具合修正 その他 Ver1.14 (2007.09.28)新要素追加 ゲームバランス調整 Ver 1.13 (2007.08.31)不具合修正 Ver 1.12 (2007.08.30)新要素 不具合修正 ゲームバランス調整 その他 Ver 1.09 (2007.07.27)不具合修正 その他 Ver 1.08 (2007.07.23)新要素追加 不具合修正 ゲームバランス調整 その他 Ver1.07 (2007.06.22)新要素追加 不具合修正 ゲームバランス調整 その他 Ver 1.06 (2007.06.08)ゲームバランス調整 不具合修正 2007/5/31新要素追加 不具合修正 ゲームバランス調整 その他 2007/5/11不具合修正 ゲームバランス調整 2007/5/2不具合修正 ゲームバランス調整 新要素追加 2007/4/27不具合修正 ゲームバランス調整 所持アイテムの追加 Ver1.25 (2007.12.28) 不具合修正 一部のボイス再生後に進行不能になることがある問題を修正 攻撃スキル「毛筆乱舞」発動時に強制終了することがある問題を修正 イベント特典アイテムの取得とアチーブメントの達成が同時に発生した場合、アチーブメント取得表示が行なわれないことがある問題を修正 Ver1.24 (2007.12.26) 不具合修正 アチーブメント達成時、表示されるアチーブメントが違っていた問題を修正 イベントポイントが1000ep以上になっている場合、250ep獲得する毎にアイテム入手表示が出ていた問題を修正 サウンドボリューム設定で0に設定している状態から-ボタンを押すと正常でない音量設定処理がされていた問題を修正 Ver1.23 (2007.12.21) 新要素追加 神姫ショップに新商品を追加いたしました。 サンタ型ツガル Blue Xmasバージョンに対応いたしました。※素体は、神姫ショップで販売している「サンタ型ツガル」と同一のものです。 新アチーブメントを追加いたしました。 イベントミッション「イリーガル・レプリカ迎撃指令!」を追加 いたしました。※イベントミッションについての詳細は公式サイトをご覧ください。※このイベントミッションは、2007.12.21 12 00~2008.1.7 12 00の期間のみプレイ可能です。 神姫メンテナンス画面でのイベントを追加いたしました。 ティールームで選択できるバトル特殊ルールを追加いたしました。 神姫のボイス再生にリップシンク機能を追加いたしました。 ゲームバランス調整 以下の武装パーツの性能を調整いたしました。・シイタケシールド コミカル評価のある攻撃により、テンションゲージが低下する際の計算式を調整いたしました。 オフィシャルバトル数によるExクラスへの移行条件を以下のように変更いたしました。・引分を除いてオフィシャルバトルを100戦消化※各クラスのレベル上限による移行は別途適用されます。※オフィシャルバトル数の上限は、引分も含めて200戦です。 不具合修正 サウンドのグローバルフォーカスをOFFに設定している場合に、アプリケーションを非アクティブにしても一部の音が鳴ることがある不具合を修正いたしました。 オーナーズルームで操作不能になることがある不具合を修正いたしました。 レイディアントコーディネートの光学攻撃ダメージ-50%軽減効果がスキル攻撃に適用されていなかった不具合を修正いたしました。 攻撃スキル「サラマンダーチルドレン」使用後にステータスがATTACK表示のままになる不具合を修正いたしました。 短剣二刀攻撃において武器エフェクトが片方しか出ていなかった不具合を修正いたしました。 その他 一部の演出を調整 いたしました。 一部のゲーム内説明テキストを変更いたしました。 クリア済み特級トレーニングにアイコン表示を追加いたしました。 マニュアルを更新いたしました。 Ver1.22 (2007.12.10) 不具合修正 忍者型フブキの音声が一部、出力されなかった不具合を修正 騎士型サイフォスの一部モーションを修正 「アングルブレード」をポーズエディットで正常に回転できなかった不具合を修正 「M4ライトセイバー(装着)」の性能説明にスキル名が表示されなかった不具合を修正 ビギナーズガイドの表示不具合を修正 Ver1.21 (2007.11.29) 新要素追加 神姫ショップに新商品を追加 新アチーブメントを追加 新ミッションを追加 第3・4弾の神姫にイベントを追加 オーナーズルームトップメニューに、「システム」メニューを追加 「システム」メニューに以下のサブメニューを追加音量設定BGM,SE,ボイスそれぞれのボリュームを設定できます バトルログ設定バトルログを自動的にテキストファイルに保存するよう設定できます デフォルト設定に戻す上記設定を含むシステム設定を初期値に戻します ログアウトサーバから切断し、タイトル画面に戻ります 「カスタマイズ」メニュー内に「呼称変更」機能を追加※ただし、できるかどうかは神姫次第です エクスポートした武装セットデータを削除する機能を追加 武装エディットのパーツリストにおいて、任意の武装パーツを「お気に入り」に指定する機能を追加※フィルターで「お気に入り」パーツのみに絞り込むこともできます ゲームバランス調整 マッチングアルゴリズムを調整 一部の武装パーツの性能を調整 一部のコーディネートにおいてコーディネート特典を追加 武装パーツ「M4ライトセイバー(装着)」に特殊スキル「M4ライトセイバー攻撃力アップ」を追加※M4ライトセイバー(装着)を2つ装備する必要があります 斧カテゴリの攻撃によるダメージランダム振れ幅を拡大 コミカル評価のある攻撃を行なった場合、相手のテンションゲージを下げる効果を追加※テンションMAX状態の場合は低下しません 特殊ルールによりCOOL,CUTE,COMICAL評価がダメージ計算に用いられる場合は、貫通効果は無効となるよう変更 バトルモード「レインディア・ライディング」による体当たり攻撃を打撃武器として扱わないよう変更※ただし、攻撃属性は従来どおり打撃となります※打撃武器使用禁止ルールで発動するようになります 攻撃スキル「ドラゴンクラッシャー」を1Hitに変更 攻撃スキル「ふぁいなるドリドリあたっく」の発動可能距離を変更 不具合修正 杖が場合によっては打撃属性扱いとなっていた問題を修正(投擲に統一) 追加攻撃スキル「エースのフォーカード」で爆発が発生しなくなっていた問題を修正 その他 一部のスキル演出を変更 ver1.20 (2007.11.01) 不具合修正 装備重量等の影響により機動力が0未満となる神姫がバトルを行うとサーバがダウンする不具合を修正 攻撃スキル「収穫の季節」の威力計算において神姫自身の防御力が反映されていなかった問題を修正 バトル中のエフェクト描画不具合を修正 武装パーツ「Bk.ヘッドセンサー・アネーロ」のコーディネート属性が「メカ」になっていなかった問題を修正 一切武装していない武装データのエクスポート・インポートに対応 コメットコリジョン3Hitでとどめを刺したときの演出を修正 ふぁいなるドリドリあたっくのカメラを調整 その他 度重なるサーバダウンのお詫びとして、急速充電バッテリー×3を配布させて頂きました。 Ver1.19 (2007.10.31) 新要素追加 神姫ショップに新商品を追加 新アチーブメントを追加 育成中の神姫がリストアップされる順序を任意に変更できる機能を追加 武装エディットのパーツリストにソート機能を追加 武装セットデータのインポート/エクスポート機能を追加 バトルの戦略指示内容を武装セット毎に自動保存する機能を追加※武装セット選択時に、自動的に対応する戦略指示内容が読み込まれます マイ神姫バトルにステージ選択機能を追加 短剣二刀流攻撃を追加※メインウエポンスロットに、両手持ち可能な同じ短剣を2つセットすることで発動します ゲームバランス調整 CSCリストア使用可能条件を「成長限界かつオフィシャルバトル100戦消化」に変更 マッチングアルゴリズムを調整 スキル使用頻度を調整 ガード時のテンションゲージの上昇計算式を変更 攻撃スキル「収穫の季節」の威力を、使用する神姫の防御能力に応じて変動するよう変更 ダメージ計算において、ある程度低い防御力の場合でも相応にダメージを軽減できるよう計算式を変更 一部の武装パーツの性能を調整 不具合修正 一部のボイスが正しく再生されなかった問題を修正 その他 武器説明テキストに対応コーディネートを表示 クリア済みのミッションにミッションクリアマークを表示 武装パーツ試用チケットを、登録されているオーナー全員に1枚ずつ配布 マニュアルを更新 Ver1.18 (2007.10.18) 不具合修正 バトルモード「砲撃体勢」中の砲撃に対して防御スキルを使った後、攻撃するとクライアントが強制終了する問題を修正 バリエーションの存在する武装パーツにおいて、バリエーション切り替えが正しく行われていなかった問題を修正 Ver1.16 (2007.10.3) 不具合修正 試用期限の過ぎた武装パーツを外せなくなってしまうことがある問題を修正 Ver1.15 (2007.10.1) 不具合修正 第3弾/4弾キャラクターのキャラクター別アチーブメントが表示されない場合がある問題を修正※すでに条件を満たしているアチーブメントは、最初にトレーニングまたはバトルを行った後、達成されます。※本メンテナンス以前にリセットされた神姫のアチーブメント達成は反映されません。ご了承ください。 エクストラミッションⅩⅣおよびⅩⅤのバトルステージ設定が違っていた問題を修正 バトルモード「レインディアライディング」中の演出表示不具合を修正 武装パーツ「デファンス」付属の反撃スキル「グランシュヴァリエ」の威力設定が誤っていた問題を修正 武装パーツ「魔槍“グングニル”」の攻撃がヒットしなくてもSP吸収効果が発生していた問題を修正 一部の神姫がスキルを使用しなくなってしまう問題を修正 武装エディット画面における一部の武装パーツの性能表示に誤りがあった問題を修正 WEBカタログの公開パラメータの一部に誤りがあった問題を修正 その他テキスト上の誤字、脱字を修正 その他 マニュアルを更新 メンテナンスモードでの追加イベント発生頻度を調整 Ver1.14 (2007.09.28) 新要素追加 新オープニングムービーを追加 以下の神姫に新たに対応騎士型 サイフォス侍型 紅緒サンタ型 ツガル花型 ジルダリア種型 ジュビジー砲台型 フォートブラッグ 神姫ショップに新商品を追加 新アチーブメントを追加 新ミッションを追加 新イベントを追加 特定の武装パーツの組み合わせで発動する「バトルモード」を追加 同種の武装パーツを組み合わせて装備することで有効になる「装備一種コーディネートボーナス」を追加 自分の所有神姫どうしをバトルさせる「マイ神姫バトル」を追加 自分の所有しているデータ(CSC、武装パーツ、コアユニット、素体ボディなど)を一覧表示する「インベントリ」を追加 神姫メンテナンスメニューにおいて、所有している神姫を一斉に起動する「一括起動」機能を追加 神姫ショップで一部の商品を試用できる「武装パーツ試用チケット」を追加 武装エディット画面のパーツリストにおいて、対応素体によるフィルタ機能を追加 ティールームのテーブル内で武装エディットができるよう変更 バトルシミュレータでオンラインの対戦相手が見つからなかった場合、神姫センターに登録されている他の神姫のデータを呼び出して対戦できるよう変更※この場合、対戦相手の名前の表示色が変わります※対戦相手として呼び出された側の戦績、AI等は一切変化しません ゲームバランス調整 一部の武装パーツの性能を調整 Ver 1.13 (2007.08.31) 不具合修正 スキル「スーパーねこコンボ」に反撃した場合、演出がおかしくなる問題を修正 観戦待ちの際、「ブリーフィング中」と表示されるべきところが「バトル中」と表示されてしまう問題を修正 一部のメインウエポンやスキルの説明テキストにおける誤りを修正 Ver 1.12 (2007.08.30) 新要素 第2弾犬型ハウリン、猫型マオチャオのリペイントバージョンに対応いたしました。 神姫ショップに新商品を追加いたしました。 新アチーブメントを追加いたしました。 二刀流および二丁拳銃攻撃を追加いたしました。(同じ種類の剣あるいは短銃をメインウエポンスロットに2つ入れている場合に発動します) 不具合修正 「ぬいぐるみ“ハピラピ”」を背中に装備した場合、パーツ回転情報が正しく保存できなかった問題を修正いたしました。 ゲームバランス調整 一部のスキルの性能を調整いたしました。 神姫のAIを微調整いたしました。 その他 バトルログへの出力情報を追加いたしました。 Ver 1.09 (2007.07.27) 不具合修正 テーブルパスワードに半角英数時以外を入力した際に、正常に機能しない問題を修正いたしました。 チャットウィンドウのボタンが押せなくなってしまうことがある問題を修正いたしました。 BATTLEチャットが混信してしまうことがある問題を修正いたしました。 テーブルリスト上のテーブル情報取得時に、エラーが発生することがある問題を修正いたしました。 テーブルバトル-ブリーフィング中に、武装データが表示されないことがある問題を修正いたしました。 回避に成功してもスタンしてしまうことがある問題を修正いたしました。 移動も攻撃もしないターンが発生する問題を修正いたしました。 エフェクト再生時に、アプリケーションが不正終了してしまうことがある問題を修正いたしました。 アチーブメント「1hitで1500以上のダメージを受ける」と「1hitで1500以上のダメージを与える」の表示が逆になっていた問題を修正いたしました。 フルストゥ・グフロートゥを持った時の刃の向きを修正いたしました。 その他 ティールームのテーブルリストに更新ボタンを追加いたしました。 ティールームのテーブルリストにて、パスワード設定つきの部屋に鍵アイコンを表示いたしました。 マニュアルを更新いたしました。 Ver 1.08 (2007.07.23) 新要素追加 神姫ショップに新商品を追加 新アチーブメントを追加 神姫センターに「ティールーム」を追加(詳しくはマニュアルをご覧ください) コミュニケーション機能を追加(詳しくはマニュアルをご覧ください) バトルの戦略指示に「移動を控えろ」を追加 ビギナーズガイド機能を追加(初めてオーナー登録をすると発生します) 不具合修正 CSC1種類につき128個以上所持していた場合、そのCSCを使用して神姫セットアップができなかった問題を修正 ゲームバランス調整 攻撃準備中に相手の攻撃で武器の射程外に押し出された場合などに、別の行動を選択できるよう変更 移動スキルでの移動中に攻撃を受けて中断した場合、通常の移動に切り替えて移動を継続できるよう変更 一部の武装パーツの重量を0に変更 武装パーツ「エクステンドブースター」の機動力を変更 バトル戦略指示のスキル使用指示内容と実際のスキル使用傾向のバランスを調整 その他 武装エディットのパーツリストフィルターにサブカテゴリ選択機能を追加 武装エディットのパーツリスト上での武装パーツの表示順を調整 一部武装パーツ(みみ系、しっぽ系)の他武装パーツとの同時装備ができるよう調整 一部武装パーツをポーズ調整できるよう変更 神姫ショップ商品「メイドさんハーフエプロン(黒)」の商品内容にメイドさんコルセットを追加(すでにお買い求め頂いているお客様は、所持品に追加しておりますのでご確認ください) バトルログの出力内容を追加 スキル発動時、背景が暗転するよう演出変更 スキル発動時の音声割り当てを一部変更 Windows Vistaに対応 Ver1.07 (2007.06.22) 新要素追加 神姫ショップに新商品を追加 新ミッションを追加 新アチーブメントを追加 忍刃鎌“散梅”に攻撃スキルを追加 防御スキル、移動スキル発動時にもCOOL/CUTE/COMICAL評価を加算 「CSCリストア」機能を追加(詳しくはマニュアルをご覧ください) 不具合修正 一部のイベントが発生しなかった問題を修正 ゲームバランス調整 任意のタイミングでExクラスに移行させる機能を追加 Sクラス→Exクラスの移行条件を廃止 Aクラス→Exクラスの移行条件を「オフィシャルバトル100試合消化または総合レベル180以上に到達」に変更 オフィシャルバトル/バトルシミュレータにおけるステージの選択率を変更 バトルステージが神姫の性能に与える影響を調整 装備重量と神姫の重装性能による機動力等への影響を強化 その他 クラス移行条件の変更に伴ない、一部の神姫の所属クラスを変更《Exクラス→Sクラス》Sクラスに所属後、Exクラスに移行した神姫はSクラスに所属《Exクラス→Aクラス》以下の条件にすべて合致する神姫はAクラスに所属†Aクラスに所属後、Sクラスに昇格せずExクラスに移行†6/22(金) 10 00の時点で、総合レベルが179以下†6/22(金) 10 00の時点で、オフィシャルバトル累計数が99試合以下※メンテナンス前にリセットなどでデータが削除されている神姫は、処理の対象外です。※再度Exクラスを希望される場合は、お手数ですがゲーム内のメニューよりExクラス移行処理を行なってください。 クレイドルセット時、ノーマル武装が適用されるよう変更 一部の武装パーツの回転範囲を調整 起動中の神姫へもアイテム使用ができるよう変更 Ver 1.06 (2007.06.08) ゲームバランス調整 スキル禁止ルールの時、[残りSPが1桁で勝利する]アチーブメントは適用外となるようアチーブメント達成条件を変更 不具合修正 誤ったアチーブメントオープン表示が出る事があった問題を修正 バトルログにて「天使型アーンヴァルB」「悪魔型ストラーフW」の素体名が誤って表示されていた問題を修正 「wh.GA2"サバーカ"レッグパーツ」の説明文の誤りを修正 一部ミッションテキストの誤りを修正 ある条件を伴う対戦相手とマッチングされた場合、サーバから切断されてしまう問題を修正 2007/5/31 新要素追加 神姫ショップに新商品を追加 ミッションバトルを追加 新アチーブメントを追加 「天使型アーンヴァルB」「悪魔型ストラーフW」を追加※上記2タイプの神姫は、フィギュア商品「武装神姫 電撃ホビーマガジンオリジナルカラーバージョン アーンヴァル」「武装神姫 電撃ホビーマガジンオリジナルカラーバージョン ストラーフ」に同梱されている武装神姫アクセスコードをご登録いただくか、神姫ショップで対応するアイテム利用権をご購入いただくことで使用可能になります。 不具合修正 防御スキル『マジカルサークル』が打撃攻撃およびスキル攻撃に対して発動してしまっていた問題を修正 メインウェポン『フルストゥ・グフロートゥ』と『フルストゥ・クレイン』の重量が逆になっていた問題を修正 投擲武器の見た目上の攻撃回数と内部ヒット数が異なっていた問題を修正 一部、誤ったボイスデータが再生されることがあった問題を修正 ゲームバランス調整 オフィシャルバトル終了後の神姫のクラス移行条件を以下のように変更従来) バトル前に所属クラスのレベル上限を超えている場合、バトル後必ずExクラスに移行修正後) バトル後(経験値獲得後)に所属クラスのレベル上限を超えている場合、Exクラスに移行※上位クラスへの昇格条件とExクラスへの移行条件を同時に満たしていた場合、上位クラスへの移行を優先する 前方移動時の移動速度を全体的に抑え、接近と離脱の速度バランスを調整 攻撃スキルの絶対スタン効果によるスタン状態の持続時間を短縮 防御スキル『ステディプロテクション』の効果を以下のように修正・ 通常攻撃に対しては、防御力600の防御性能を発揮・ スキル攻撃に対しては、状態異常効果も含め完全無効化 防御スキル『ホーリーフェザー』によるLP回復量を33%から25%に変更 メインウェポン『スタンロッド』の準備時間を増加 メインウェポン『吠莱壱式「ほうらい・いちしき」』の攻撃力を増加 以下のアーマーに耐スタン性能/耐ダウン性能を付加『FL012 胸部アーマー』『FL012 ガードシールド#1』『FL012 ガードシールド#2』『FL012 増設アーマー#1』『FL012 増設アーマー#2』『ランディングギアAT3 L/R』『忍草摺“紫蘭”』 神姫のAIを調整 その他 トレーニング時にノーマル武装を着用するよう変更 5/11(金)の臨時メンテナンスにおいて、限界育成神姫数が誤った値になってしまったお客様のオーナーズレコードを修正 2007/5/11 不具合修正 5月2日のメンテナンス以降、一部アチーブメントが表示されなくなる事があった問題の修正 共通アチーブメント「神姫を成長限界まで育成」の条件を満たしても達成できない問題を修正 オーナーズレコードの「ダウンした回数」と「ダウンさせた回数」が逆に表示される問題を再修正 一部のPC環境で組み込みフォントが正しく表示されない現象の対策として、神姫NETランチャーのオプション設定に「標準フォントを使用する」チェックボックスを追加 バトル中のLPゲージにおいて、実際のLPより1小さい値が表示されることがあった問題を修正 ゲームバランス調整 アーマー『胸甲・心守「きょうこう・しんじゅ」』装着時、短剣および剣カテゴリのメインウェポンも装備可能にゲームルールを変更 「スタン状態」になる確率を調整 SPを一気に大量に使用した場合に発生する「スキル発動負荷による無防備状態」の発生率および継続率を調整 バトル中の攻撃を行おうとする距離について、AIを調整 2007/5/2 不具合修正 反撃スキルが発動しなかった問題を修正 オーナーズレコードの「反撃スキルを使用した回数」に防御スキル使用回数がカウントされていた問題を修正 オーナーズレコードの「ダウンした回数」と「ダウンさせた回数」が逆になっていた問題を修正 一部のアチーブメントが達成できないことがあった問題を修正 ゲームバランス調整 攻撃スキル、追加攻撃スキル、反撃スキル、防御スキルを使用した次のターンはSPが回復しないようゲームルールを変更 通常攻撃、スキル攻撃が回避された場合は追加攻撃スキルが発動できないようゲームルールを変更 スタン状態の発生頻度を微調整 移動スキル「エンジェリックスカイ」によって移動するために必要なゲーム内時間を短縮※「エンジェリックスカイ」の移動中に敵神姫の攻撃を受けると、移動は中断されます。 オフィシャルバトル終了後の回避経験値、防御経験値、SP経験値の獲得量の調整 BATTLE LOGにおいて移動スキルの使用、スキル発動負荷による無防備状態に関する記述を追加 いくつかのスキルの性能を調整 新要素追加 新たなアチーブメントを追加 2007/4/27 不具合修正 スキル経験値を正しく獲得できない問題を修正 SPLv19以上でスキルが発動しない問題を修正 オーナーズレコードのシミュレーションバトル関連項目に正しい値が入らない問題を修正 オーナーズレコードの総勝利数にシミュレーションバトルでの勝利数が含まれていた問題を修正 Windows(R) 2000において、「gdiplus.dll」が見つからず起動できなかった問題を修正 ゲームバランス調整 移動における機動力の影響を調整 リアパーツを同時に複数装備できないようにゲームルールを変更 Exクラスもオフィシャルバトルに参加できるよう変更(累積最大200試合まで) メインウェポン【GEモデルLC3レーザーライフル】のパラメータを調整 アクセサリ【exOPT ツインテール】の重量を0に変更 追加攻撃スキル【ドッグファイトアサルト】【サンドスプラッシュフィーバー】のパラメータを調整 攻撃HIT時のスタン効果について調整 所持アイテムの追加 サービス開始以来のサーバ不安定に関するお詫びとして、2007/04/27 21 00 時点でオーナー登録されている方全員に急速バッテリー充電器を10個所持品に追加
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/17.html
凪さん家の十兵衛さん 第五話<殺戮の歌姫> 闇、漆黒の空に木霊するは、妖しき姫の歌声。 今日もまた、歌に魅了され己を無くした者達が、残酷な舞踏を披露する。 光、漆黒の空を貫くは、地獄から来た悪魔の咆哮。 それは不幸の鎖を食いちぎる者、その左目に輝くは、紅き決意の灯火。 「第一、第二小隊は第三小隊の活路を開け!第四、第五小隊は第三小隊の援護!なんとしても奴を倒すんだ!」 『ラジャー!!』 薄暗いワゴン車の中、モニターの光だけが車内を照らす。画面には無数の神姫の姿が映し出されている。 「今日で終わりにしてやる…」 そうつぶやき、眼鏡を光らせたのは、あの男。 ある日友人が持ってきた無残な神姫を、神姫への愛と己の技術を総動員して直し、後に伝説なる証、 左目の眼帯を与えた男。黒淵 創(くろふち はじめ)だ。 痩せ型の長身、だが適度に整った筋肉と顔立ちによりひ弱さはまったく感じられない。 「当たり前だ、創。今日で終わらせる!」 とその仲間が言う。 「あぁ、そうだね。…ミーシャ!他の奴には構うな!今は目の前の元凶を倒すことだけを考えるんだ!」 「了解マスター!行くよ!皆!」 マスター、私はいつも「ご主人様」と呼んでいる。 しかし戦闘時だけはマスターと呼ぶことにしている。 『ラジャー!』 と勢いを増した第三小隊の面々は一目散に目標へ向かう。 中央に位置するは創の武装神姫、天使型のミーシャ。その左右に控えているのはヴァッフェバニーだ。 これは本部より貸し出された神姫である。よって、決まった名前は無い。 今回の場合はツヴァイ3、ドライ3と呼ばれている。第三小隊の二番、三番機の意だ。 「マスター!目標を確認!情報通り天使タイプです!」 「よし!敵は手ごわいぞ…!慎重にな」 「了解!」 「おい!大丈夫か!シン!!おい!…くそ…第一小隊…全滅を確認…」 「くっ!」 「なんだ!?」 「敵の勢いが増しています!このままでは!」 予想をはるかに超えた軍勢がこちら側の神姫達に迫る。 「ミーシャ!!」 「了解マスター!」 私は今回の作戦の最優先目標にロックを合わせる。 今回の戦闘で、破壊許可が下りているのはあの大元の神姫のみ。 他の神姫は操られている神姫だ。中には非戦闘用の神姫もいる。 そう、神姫といっても大きく二つに分けることが出来る。 神姫と「武装」神姫だ。元々神姫と呼ばれる十五センチサイズのフィギュアロボは戦闘用ではなかった。 ただ純粋に人間のサポートをするために生み出された存在。 しかしある時…神姫に武装を施し、競技として戦闘行為を行うマスターが出てきた。 他の神姫のマスターもその競技と称した戦闘行為に賛同し、参加した。 そうして拡大を続けた戦いは、バトルサービスという公式に認められしものとなり。正式にバトルサービス本部が設立されたのだ。 そしてその集大成となるのが、最初から戦闘行為を考えられて開発、誕生した私達「武装神姫」シリーズである。 そんな二種類の神姫達がたった一体の神姫に操られ、暴走している。しかしあくまで操られているだけの彼女らに非は無い。 よってなるべく無傷で元のマスターの元へ戻す必要がある。 それが本部からの通達だ。はっきりいってかなり難易度の高いミッションである。 敵となってしまった友人達は容赦無くこちらに攻撃を加えてくるのに、 こちらはそうするわけにはいかないのだ。 私達はそんな容赦無い攻撃を受け流し、耐え続けなければならない。 しかし時間が長引けば長引くほど私達が不利になる。よって迅速な行動が勝利の鍵。 「いけぇぇぇ!ミーシャぁぁぁ!」 仲間達の想いと供に私は空を翔ける。 「はぁ、はぁ…」 そうして私は対峙した…白き天使に。 「いえ、悪魔ね…」 その敵はにやりと微笑み 「あら、悪魔だなんてひどいわ…フフ…貴女と同じじゃ無いの…」 「形が同じでもその心は違う!絶対に!」 「そう…じゃあ身を心も同じにしてあげる…」 その笑顔が歪んだ。 「!?」 強烈な精神波が私を襲う。これが例の…ぐ…心が侵食されていく、頭の中が取り替えられるような感覚。 ぐちゃぐちゃにかき回されていく…今までの思い出…それがどんどん遠くへ行ってしまう… ぐ、そんなの…あぁ…い、だ…めぇ…。 「ミーシャ!!!しっかりするんだ!!」 マスターの声が聞こえる。 「マ、スタ…」 「ほら、ほらほら…早く楽におなりなさい…」 あ、あぁぁぁぁぁ!一層精神波が強くなる。 「ぐ…、うぅぐ」 「ふふふ、がんばるわね?でも貴女のお仲間さんはもう私の友達になってくれたみたいよ?」 「え、まさか…ツヴァ、イさん…ドライちゃ、ん…」 抵抗を続けていたヴァッフェの二体は無残な姿になっていた。 装備を剥がされ、目を刳り貫かれ、腕はもぎ取られ…しかしそんな外見になっても立ち上がり、そしてこちらに銃を… 「そ、そんな…ぁが!」 パァン…パァン… 銃声が無数に響く。さっきまでともに戦ってきた仲間の銃弾が私に牙を向く。 「ぐ!あぁ、ぐぅあ!」 「ふふふふふふ…」 天使の象徴である翼には穴が開き。装甲がはじけ飛ぶ。 「く、ぬぅ…」 「あら、まだ動けるの?強情な子…じゃあもっと痛い思いなさい」 そう言うとその白き悪魔はそっとミーシャに近づく。 「ぐ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 途端、腹部に激痛が走る。そして背中から青白い閃光がはみ出し、貫いた。 「がは、ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「ほらほらほらぁ…どんどん深く刺さっていくわ…ふふふ」 「ふぁ、ぁが…ぐ…」 意識が遠のく…も、もう駄目…ま、ますた…ぁ。 「さて、そろそろお遊びは終わ…?…ちっ…もうそんな時間?」 と、急に攻撃の手が止まる。腹部に突き刺されたライトセーバーはその凶刃の展開をやめ、セイバー発生部まで体内に入っていた状態から一気に引き抜かれる。 「ぐはぁっっっ!!がは…うぐ…」 私はその痛みに耐え切れず崩れ落ちる。そして 「ぐぁっ!?」 頭部に衝撃。白い悪魔が私の頭を踏みつけていた。 「ふん、運が良かったわね…でも次は…それとももう怖くて外に出られないかしら?」 「ぐ、う…うぅ」 私は涙を流していた。恐ろしいほどの恐怖、そしてその恐怖に負けた悔しさでだ。 「まぁいいわ…覚えておきなさい…私の名前はセイレーン…無垢な神姫を幸せの世界へと誘う女神…」 「がはっ!…セ、セイレーン…」 そう言うとセイレーンと名乗った神姫は私の頭部を踏み台に高々と飛び上がり、消えていった。 動かない体、目の可動範囲のみで辺りを見渡す。残ったのは装甲や武器の残骸だけ…神姫と呼ばれていた者達は一体として残されてはいなかった。くっ…連れ去られたんだ…。 「み、み…んな…」 私のせいだ、私がちゃんと出来なかったから皆が…。 「う、うぅ…う…」 私は泣いた…泣き続けた。遠のく意識の中で最後に見たのは走ってくるマスターの姿。 私を抱きかかえるマスター。 「…っかりするん…!みー…ゃ!!…―しゃぁぁ…ぁぁ!!」 私の意識はそこで途絶えた。 復帰したのは二十三時間後になる。 キュウン…センサー起動、視覚正常、全システムオンライン。 「う、うん…」 私は重いまぶたを開けた。 「ミ、ミーシャァァ!!!!」 「やったな!!」 「ミーシャさん!!」 目の前にはマスターいえ、ご主人様…それに凪 千晶様とその神姫、十兵衛ちゃんがこちらを覗いて 文字通り三者三様の反応を見せていた。 「ご、ご主人様…凪様…十兵衛ちゃん」 「「「ミーシャァァァ!」」」 「ふえっ」 ご主人様が私を抱き寄せる。 「良かった…本当に良かった…」 「ご主人様…」 「良かったです!ミーシャさん!!」 「おう、ひやひやしたぜ」 「ご、ご心配かけて申し訳ありませんでした…」 「良いんだよ!ミーシャさえ無事でいてくれたら!」 ご主人様はさらに私をすりすりする。 「あ、有難うございます…で、でも…」 そう言うとご主人様の表情が暗くなる。 「ミーシャ…うん、そうだね…」 「皆は、皆はどうなったんですか!!」 「…残ったのは…ミーシャ…君だけだ…」 「そ…そう…ですか」 信じたくなかった。でもそれが事実…。 「ミーシャさん…」 「………」 そうしてご主人様は私を机の上にそっと降ろす。 「なぁ…凪…」 凪様の方を向くご主人様。 「ん?…なんだ?」 「…僕は、なんとしてもあの違法神姫を食い止めたい」 「あ、あぁ…そうだな…危険だなぁ…」 「頼む!!十兵衛ちゃんの力を貸して欲しい!!」 と頭を下げるご主人様。 「…」 無言の凪様 「え…」 驚き、口に手を当てる十兵衛ちゃん。 「ご、ご主人様…?」 「分かってる!自分が何を言ってるかは重々承知だ!でも頼れるのは十兵衛ちゃんしかいない! あの神姫に対抗できるのは遠距離攻撃、それも超遠距離攻撃法を持った十兵衛ちゃんだけなんだ!! 頼む!!僕の友人達の神姫を救いたいんだ!!」 部屋の中に静寂…音で表すなら、まさしく「シーン」が相応しい。 「言いたい事はそれだけか?」 「…」 凪様の言葉は重く冷たい。 「確かにお前には感謝してる…。十兵衛の恩人だし、他の事だったら快く受けただろう 。でもこれは違う。十兵衛が今まで体験してきた地獄…それをしろと言ってるのと同じだ…」 「…」 そう、話によれば十兵衛ちゃんの前身は地下の違法バトル出身の神姫だという。そこで培ったスキルと眼帯に内蔵された超高性能カメラを駆使し、 この前の新人戦では新人の名に相応しくない圧倒的な強さを見せて優勝していた。 しかし十兵衛ちゃんはいつしかその地下での戦いを拒むようになり、ついに逃げ出したのだ。 「それに…」 「…」 「頼む相手が違うぞ」 「え…」 「戦うのは俺じゃない、十兵衛なんだろ?確かに俺はどちらかと言えば反対だ。 でも俺は十兵衛になら出来るんじゃないかと心のどこかでそう思っている」 「マスター…」 「だから…頼むなら十兵衛に頼め!俺は十兵衛の意見に合わせる…」 と背を向かれてしまった。 「凪…」 「マスター…」 「十兵衛ちゃん…」 「はい…」 「君の答えを聞かせてくれ…もちろん無理をする必要は無いし、君一人を戦場へ向かわせるつもりも無い…」 「黒淵さん…」 「…」 しばし静寂…。そして十兵衛ちゃんが口を開いた。 「良いですよ、やりましょう」 「じ、十兵衛ちゃん…」 「マスター!私やります!私もこれ以上皆が…ミーシャさんがこんな目にあうのは見たくありません! それに私にしか出来ないなら!私がやるべきなんです! 私はこれまで地下で何体もの神姫を文字通り葬ってきました。 その罪を償うわけじゃありません…でも…せめて …せめてこれ以上!神姫達やマスターの方々に悲しい気持ちになるのを黙って見ていたく無いんです! お願いします!マスター!私に戦わせてください!」 十兵衛ちゃん…なんて勇敢な…その表情からは揺ぎ無い圧倒的な決意が見て取れる。 「…」 凪様は静かに振り向き 「よし、やっちまえ十兵衛」 とにやりと笑った。 「はびこる悪を正義の業火で焼いてやれ!」 「はい!マスター!!」 「凪…十兵衛ちゃん…」 「そういうことだ創。協力してやるよ」 「凶大な悪を打ち倒しましょう!!」 あ、あれ…なんでノリノリ? 「で、でも!」 思わず口が動く。だってもし失敗したら十兵衛ちゃんが! 「大丈夫ですよ…ミーシャさん」 「じ、十兵衛…ちゃん」 「大丈夫です」 にっこりと微笑んだ。悪魔型で左目に眼帯をつけたその神姫の姿は 今までのどの神姫よりも天使に見えた。 さて、やっと俺達の出番か…まったく主役を蔑ろにするとは何事だ。 「まぁまぁマスター、良いじゃないですか」 「うぅむ…しかし…」 それにしても…まさか非公式なバトルをする羽目になるとは。しかもリアルバトルだ。 いや、バトルと言えるものなのかすら怪しい。 「大丈夫か?十兵衛?」 俺は不安になった。 「はい、怖くないわけではないですが…でも大丈夫です。もう私は一人ではありませんから」 「十兵衛…そうだな!」 とはいえいくら十兵衛でもファーストリーグランカーのミーシャでも敵わない相手を倒すことが出来るのだろうか。 確かにこの前の試合、 連勝街道まっしぐらなどこぞの金持ち坊ちゃんのやたらごちゃごちゃ武装したそいつの神姫を十兵衛は何食わぬ顔 (いや、実際はかなり怒っていたのだが)で撃ち抜いた。 その試合時間はわずか一秒。 この話は今思えばあまり思い出したくも無い、あぁなんか腹立ってきた…ま、まぁそのうち話すとしよう。 それはそれとして、とにかく十兵衛の戦闘スキルは特筆すべきものがある。だが…。 いや、待てよ…今回十兵衛がすることは簡単だ。 創達の神姫が囮となって引きつけている間に、十兵衛が超遠距離から目標を撃ち向く。 よく考えれば一番安全なのは十兵衛だ。十兵衛はひたすらチャンスを狙えば良い。 十兵衛に限ってチャンスを逃す…なんて真似はしないだろう。確実に初弾必中だ。 「うん、大丈夫だな…」 「はい!!」 「じゃあ行くよ。凪、十兵衛ちゃん」 創の準備が整ったようだ。 「おう」 「はい!行きましょう」 そして薄暗いワゴンの中。俺と創、その他のメンバーは数台に別れて車内に、十兵衛やミーシャ達は初期位置についていた。 「気分はどうだ、十兵衛」 「はい、大丈夫です」 ごぉぉぉぉぉぉっという音が相応しい風の音。 私は目標到達地点から程よく離れた6階の屋上に来ていた。 後ろには護衛としてヴァッフェバニーがいる。 「え、えと、本当にX2、X3さんで良いんですか?」 私は二人に話しかけた。 「ええ、構わないわ」 「大丈夫よ。X1…いえ、十兵衛さん」 なんでX2、X3なんだろうか。 「それはこの小隊が第X小隊。本来は存在しない小隊だからよ」 と、さっきX2さんが教えてくれた。 「でも、本当の名前とかは…」 「もちろんあるわ、でもそれは私自身が分かっていれば良いこと」 「今回はX2、彼女はX3と呼んで頂戴」 「は、はぁ」 「そうね、この戦いが終わったら教えてあげる」 「わ、分かりました」 「ザ…気分はどうだ、十兵衛」 マスターの声だ。 「はい、大丈夫です」 「もうじき始まる。気を抜くなよ」 「はい!」 「絶対無事に帰って来い!」 「もちろんです!マスター」 漆黒の闇が訪れる…。 闇ととも現われるは、悪魔の歌声を持つ天使。 無数の操り人形を従えて、今日も舞踏会が幕を開ける。 殺戮と言う名の歌にのせて…。 闇、それを見つめる紅き眼差し、その目に映る悪を撃て。 「3・2・1・0!!作戦開始!!」 『ラジャー!!!』 「よし、X小隊展開開始!頼んだぞ十兵衛!X2!X3!」 「X1!十兵衛!いきます!!」 「X2了解!」 「X3了解!」 次回<凪さん家の十兵衛さん第6話『朝靄の紅眼』>ご期待下さい。 第六話も読む
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/889.html
● 三毛猫観察日記 ● ◆ 第二話 「激闘!あおぞら商店街!」 ◆ 「ドキドキします…お二人の足手まといにならなければいいんですが」 「なに言ってるのよ小春ちゃん、今日は小春ちゃんが主役なんだからね!」 「そうですよ小春さん、大いに期待してますからね!」 どうも小春ちゃんって自信無さげなのよねぇ、あんなに強いのに。 「それでは今日の作戦を最終確認しましょう」お姉さん格のサンタ子ちゃんが言った。 7月22日、とうとう大会の当日です。アタシと小春ちゃんのデビュー戦だけど、一緒に トレーニングしてきた感じ、なかなかいいチームになったと思うの。 索敵・司令塔のサンタ子ちゃん。(ランカーなので自主的にハンデのウエイト装備) へヴィアタッカーの小春ちゃん。 そして小春ちゃんの盾/遊撃兵のアタシ。 このメンバーとコタローの特製装備なら、セカンドクラスでもいけると思うわ! 「・今日は6チーム総当りの5回戦で『市街戦』での模擬戦・リアルバトルです。 ・私が空から指示を出します。私が見ている映像は二人のバイザーに転送しますので、 敵との相対位置を測るのに役立ててください。 ・私に何かあったら指示はミアさんが出して下さい。どうやらミアさんの分析能力は 私達の中で…いえ、一般的に見てもトップレベルだと思うので、戦闘に慣れてきたら 司令塔を変ってもらうかもしれません。 ・作戦の基本は『小春さんを守る』です。状況によってはミアさんの遊撃もアリですが、 敵が二人以上残っている場合は、なるべく小春さんから離れないでください。 「ペイント弾でも気を抜くと怪我をしますから注意を。何か質問はありますか?」 「ありませ~ん!小春ちゃんはミアちゃんが絶対守るからね!」 「あ、あの…よろしくお願いします(モジモジ…はあと♪)」 一戦目、敵は悪魔型×2、天使型1。 一人で飛び出してきた天使型をサンタ子・小春の連携で瞬殺。その後サンタ子ちゃんが 残ったうちの一人を足止めして、もう一人をミア・小春の連携で瞬殺。で敵がギブアップ。 二戦目はもっと簡単。三人の騎士型を小春ちゃんが順番に撃破。アタシもサンタ子ちゃんも 傍で見ているだけでした。 三戦目は少し苦戦。編成がコッチと似ていたの。(天使型・騎士型・砲撃装備の悪魔型) でもそれはサスガにサンタ子ちゃん、サンタ子:騎士、小春:天使、アタシ:悪魔って 1対1同士に持ち込んで、被害無しで勝利。(あのままだと一人ぐらい被弾してたわね… やっぱり司令塔はサンタ子ちゃんでなくっちゃ!) 四戦目は不戦勝。対戦相手がケガをしちゃったみたい。アタシ達も気を付けないと… 休憩室のテーブルで一休みです。 「やったな小春、大活躍じゃないか!」 「あ、ありがとうございます♪」小暮ちゃんに誉められて、小春ちゃん嬉しそうね! 「よし、このまま無傷で優勝しちゃえ~!」 「はい、頑張ります♪」「そうですね!」「しちゃえ~!」 「こんにちは徳田さん。お元気そうですね」 突然、肩に天使型の神姫を乗せたスーツ姿の男が声を掛けてきたの。 「やぁ、久しぶり!…えーとゴメン、誰だったかな…」 「次の対戦相手の影田です。あぁ私自身は初対面ですよ。でも貴方の事は良く知ってます」 アキオちゃん、困った顔をしてます。本当に心当たりが無いみたいね… 「まだ解りませんか?あれ、今日は侍型の神姫は連れていないんですね。あぁそうか、 私達が破壊しちゃったんでしたっけねぇ」 突然アキオちゃんが、ものすごい形相でソイツに殴りかかった。 「キサマ『エスト』のメンバーかぁぁぁぁっ!!!」 「止せアキオ!!!」コタローがアキオちゃんを羽交い絞めして止めた。 ソイツ・影田は、ヤレヤレと呆れた仕草をした。 「あなた達のおかげで『エスト』は解散しました。しかし、まさかこんな所で報復の チャンスが来るとは思いませんでしたよ。 大会の運営部にはラストバトルだから実弾で盛り上げたいと話してあります。勿論、 挑戦を受けてくれますよね?」肩の天使型が、いやらしい笑いをした。 影田はどっかに行っちゃいました。 「な、何なんですかアイツは!?それに『エスト』って…訳が解りませんよ!」 小暮ちゃんと同じ、アタシもワケ解んない。 「…『エスト』と言うのはな、小暮君」とコタロー。 「『エスト』と言うのは、神姫を従えた20人ぐらいの不良チームだったんだ。 メンバーの中には強盗傷害裏バトルと、違法行為を行っていたヤツもいた。 そんな連中にアキオの昔の相棒、侍型「桜花」は破壊されたんだ」 「な…神姫を…先輩の神姫を破壊ですって!!??」 小暮ちゃんが、抱えていた小春ちゃんを思わず抱きしめた。 「…その敵討ちに、俺とアキオで主要メンバーを警察へ突き出したんだんだが… 今頃下っ端が出てくるとは…」 「…………サンタ子、準備はいいか?」 長い沈黙の後、アキオちゃんが口を開きました。 「待てよ、今更あんなヤツと実弾バトルなんて、何の意味があるんだ!」 「止めないで下さい、虎太郎さん」サンタ子ちゃんが割って入る。 「あの人達だけは許せないんです、何と言われようと。私一人だろうと戦いますよ!!」 「なに言ってるのサンタ子ちゃん、ミアちゃんもモチロン戦うよ!」 「私も戦います…あんな人、許せないです…!」 コタローが、みんなの顔を一人ずつ見つめてから言った。 「…………解った。ミア、みんなを守ってやるんだぞ…」 「アイアイサー!ミアちゃん頑張るよ!!」 商店街の中央に作られた試合会場は、いままでのどの試合の時よりも騒然としてる。 これが最後の試合だし、急遽実弾バトルになった事も影響してるのね。 サンタ子ちゃんはウエイトを外し、代わりに愛用の野太刀「花鳥風月」を装備してる。 空中高速接近戦が本来の戦闘スタイルなのです。 小春ちゃんはペイント弾を実弾にして、アタシはウレタン製の猫武器を本来のに戻す。 対して影田チーム。マスターは影田一人、天使型+砲台型×2のチーム。 砲台型は普通の装備に見えるけど…天使型の持ってるレーザーライフルがちょっと変。 ジョイント用の穴だらけだし、なんか大きくない? 「大変お待たせいたしました。それでは『あおぞら商店街杯・武装神姫チームバトル大会』 のファイナルバトルを開始します!レディ~~~ゴー!!」 「作戦は今まで通り、まず私が斥候に出ます」サンタ子ちゃんが飛び出した。 アタシと小春ちゃんは、サンタ子ちゃんから送られてくる映像をたよりに前進する。 「敵は動いていません、三人固まって広場の奥に引っ込んでるわ。敵の戦力を考えると 今回は小春さんに弾幕を張ってもらって、私とミアさんで順番に一撃離脱がいいかも しれません」 パーフェクトな作戦だと思うけど、何か、何かイヤな予感がするのよね… アタシと小春ちゃんは射程距離ギリギリのところまで移動してきた。これ以上近づくと 敵の射程距離にも入っちゃう。 ここからなら肉眼でも敵の三人を確認できる。ホントに動いてないわねぇ。まるで三人が 一つの砲台みたいに見える。 ハッ!!!! 「小春ちゃんサンタ子ちゃん、スグに離脱して!!!!!!!!」 私達が撤退を始めた直後、大砲が発射された。 それは、LC3レーザーライフルの射線じゃなかった。二人の砲台型から取り外した パーツを取り付け、残った裸の素体をパワーパックとして接続したソレは、レーザー バズーカと言った方がシックリくる。 直撃を予想したアタシは小春ちゃんを蹴り飛ばし(「小春ちゃんゴメン!」)その反動で 自分も回避行動をとる。 「小春ちゃん!!!」 「大丈夫、手をかすっただけです。ミアちゃんが助けてくれなかったら、私、多分 破壊されてました…」 小春ちゃんの左手が鈍く変色している。強がっているけど、かなり辛いはずだわ。 「二人とも大丈夫ですか!!?」サンタ子ちゃんが空から降りてきた。 「とりあえず命は無事だよ。でも、あの武器が…」 こちらより射線が長く、強力な武器。それは攻略しようとするだけで、多大な犠牲を 覚悟しなくちゃいけないってこと。 「…ミア、それからみんな、ギブアップするぞ」コタローから通信が入った。 「アレが動き出したら、それこそ最後だ。ミア、お前なら予想できるだろう?」 「そんな、虎太郎さん。まだやれます!私が囮になって」 「サンタ子、バカを言うな!確かにヤツは許せないが、お前達が犠牲になる必要は無い! それでいいな?アキオ、小暮」「……………あぁ…」「はい…」 「でも、小春さんだってこんな怪我を…桜花さん……うっううっっ」 フィールドの向こうでは、影田がニヤニヤしている。 沈黙。みんな気持ちは同じだけど、悔しいけど、どうする事も出来ない… アタシ以外は。 「コタロー、1分だけ時間をちょうだい。ミアがあのバズーカを破壊する!」 「え?あ、ミア!?何を…無茶だ、いくらお前でもあの距離、狙い撃ちされるぞ!」 「コタローお願い…ミアを信じて!」 「だが……」 『信じて!』 「…………………解った。だが、無理はするなよ…」 「ありがとう、コタロー」 ネットにダイブしてる時に、武装神姫と似た設定のマンガを見つけたの。その中で、 自分にダメージを与えることによって緊急回路を発動させ、ハイパー化するというのが あった。神姫でも同じ事が出来ないかな…というのが発端。 出来るのよ。危険だしコントロールが難しいけど。こっそり訓練だってしたし。 体の各動力部を慎重に臨界まで上げていき、擬似ダメージを蓄積させる。制御を失敗して しまえば、本当に爆発しちゃうかもしれない。 バズーカが動き出した。速度は早足程度だけど、確実にこちらに近づいてくる。 「二人とも、アレの後ろに周りこんでちょうだい!」「了解です」「え、あ、はい!」 この移動速度ならギリギリ射程距離に入った直後に発動できる。 案の定、発動準備が整った瞬間にバズーカの発射準備を始めた。もう遅いわよ! 「―――――――――バーストモード、いっくよぉ~!」 次の瞬間、アタシの体を真紅の光が包み込む。この警報シグナルが点いてる1分間が勝負。 突然のアタシの変化に驚いたのか、敵はあわててバズーカを発射する。 狙いが甘い!一旦左によけて、そのままバズーカ目指してダッシュする。 二撃目は見当違いな所へ発射。スピードアップしたアタシに全然対応できていない。 天使型の表情が見えた。なにか化物でも見るような顔をしている。ある意味化物かも しれないわね。今のアタシなら熊だって倒せるハズ。 三、四撃目を楽々かわし、天使型の目と鼻の先に到達。 2体の裸の素体はバズーカにケーブルで連結されて、無表情に立っている。ホントに パワー供給装置として使われているみたい。 天使型は…大きく目を見開いて、恐怖のあまり顔が引きつってる。 「後悔したって、もう遅いんだからね!!」 頭の中でEXゲージがピカピカ点滅してる感じ。時間が無いし、決めるわよ! 「超必殺……… 猫 ・ 乱 ・ 踊 !!! 」 アッパーフックアッパー手刀フックストレートフック肘肘アッパー裏拳フックアッパー 掌打フックアッパービンタビンタ肘肘肘アッパーフック膝膝膝膝フックアッパー 前蹴り回し蹴り回し蹴り踵落としトドメのサマーソルト!!! 一瞬でボロ雑巾のようになってしまった天使型は、最後のサマーソルトの勢いですっ飛んで いった。少しやり過ぎたちゃったかな? サンタ子ちゃんが来た。この急な展開にもちゃんと対応してる。流石です。 小春ちゃんは遠くで武器を構えてるけど、ビックリして固まっちゃってます。 「ミアさん、大丈夫ですか!?」 「サンタ子ちゃん…後はまかせちゃうね…」 警報シグナルの光が消えて、同時にアタシの意識も消えていきました。 その日の夜、やっとアタシは目を覚ましました。 結局大会はそのまま終了しちゃったそうです。残った2体の素体は天使型が倒された瞬間に 起動停止したそうで…ホントにパワーユニットとしてのみ使われてたのね。 影田は試合終了直後に姿を消しちゃったそうです。 それから。 バーストモードのせいでアタシのボディはボロボロになってたの。特に関節系の部品の 磨耗が激しく、修理には相当の手間がかかるんだって。 (虎太郎「手間なんていいんだ。それより俺は無理するなって言ったハズだぞ?」) 簡易素体に入れられたアタシは、もう1時間以上コタローからお説教されてます。 まぁコタローに心配掛けるのも何だし、当分の間は大人しくしてよっと。 当分の間は、ね! 第三話 意思を継ぐ者 へ進む 第一話 猫、飼いました へ戻る 三毛猫観察日記 トップページへ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/310.html
「スッチーって呼び方は…もはや死語なのだろうか」 「たぶんそうなんじゃない?」 この日記はいきなり突拍子の無い始まり方が毎度のことなのだが、今回のそれはいつもに増して意味不明っぽくてスマン なぜ俺とミコの会話の話題が女性客室乗務員なのかというと、それが今、目の前を通り過ぎているからなのだ。 季節はすっかり冬 そんな寒い日の昼前に俺とミコは空港に来ていた どっかへ旅行に行こうってわけじゃない 今日は俺の親友であり幼馴染の花菱 昴が帰国するって言うんで迎えに来たのだ ちなみにノアとユーナは俺の家で葉月や香憐ねぇたちと帰国歓迎会の準備を手伝っている 神姫素体なのに役にたつのかと疑問なのだが、ノアなら問題なく出来てしまいそうな気がする… 「少し早く来すぎちまったかな」 「予定の飛行機が来るまでどれぐらいあるの?」 「ん~と…」 俺は出国ロビーにでかでかと表示されている電子掲示板で昴の乗るはずの飛行機の到着時間を確かめる 「あ~、あと45分ぐらいか…」 「うええ~、そんなに?」 これには俺も同感だ なんか面白いもんでもあるのなら別なんだが、空港のロビーで45分も無駄にボケーとしておくのは暇すぎる…… ん? なんか面白いもん… 「そうだ、ここって確か隣の建物に神姫センターがあったよな?」 「あ、そういえば来るときにみたね」 そうなのだ 今の御時世、国際空港となれば土産屋やコンビニなど多少のものはあるのだが、ここの空港にはレスティクラムセンターや神姫センターがあったんだった 日本の情報技術や映像関係の技術は世界に誇るものがあるからなぁ… 30年前だって世界の先進国では「OTAKU」や「MANGA」って言葉が通じてるんだから……なんか日本って凄い国なのかどうだかわからんな; 「行ってみるか?」 「もっちろん! にゃはは~、リーグ戦以外の試合は久々だから腕がなるよ~w」 「そんでもって今のトコ10連勝ってか」 あれから時間にして25分ほどたった リーグ戦でもないのでフリーバトルで匿名参加 外国人観光客ならまだしも日本のリーグランカー相手に俺とミコの名前を出してたら対戦相手が減っちまう。こちらとしても自分より格下の相手をいびりたいわけじゃないので手加減はしているんだが……… わざと負けるのも悔しいので、せめて『瞬殺はなし』ぐらいのハンデでやっている(ハンデになるかどうかは別問題) 「にゃははのはぁ~w ご主人様、褒めて褒めて~~」 「あ~はいはい、ヨクデキマシタ」 「むぅ~。心がこもってなさスギ~」 そういってむくれるミコ 「アホタレ。空港みたいな辺境じゃ、お前レベルの神姫なんてそうそう出てくるわけ無いだろうが。勝って当然なんだから見返りも当然少ねーの。ハイリスク、ハイリターンならぬロウリスク、ロウリターンなのだよミコ君」 「ちぇ~。………んじゃさ、ご主人様」 「あん?」 なんか上目遣いでモジモジしながらこちらを見ておられますな… 「もしもファーストランクの神姫とマスターが挑戦してきて勝ったらさ………私のお願い…なんでも…聞いてくれる?」 いきなり何を言い出すんだこの娘さんは…なんでもってなぁ… 「なんでもって…どの位の?」 空港なんでこのままハワイへ二泊三日! なんてのは無理があるぞ? 「ん~そだね~、……今日は私と一緒に寝てくれる…とか」 「………はい?」 「ね、ね、いいでしょ? もしもだよ、もしも!」 なんかそのお願いは微妙にしょぼいような気がするが…ハワイより現実的だわな 「…挑戦してきたらな」 「ホント!? 約束だよ! ゼッッタイだからね!!」 「あ、ああ……」 「よーし!!」 …なんかウチのミコさんが燃えていらっしゃいます 凄いです 119に連絡した方がいいでしょうか? んでもって20分後 「おい、ミコ、そんな名残惜しそうに見るなってば」 「だって、だってぇ~;」 あの後ミコは鬼神の如く挑戦者を千切っては投げ、千切っては投げの総計34連勝 途中はムキになった挑戦者同士でチームを組んで挑んだりしてきたがそれでもミコの怒涛の勢いを殺すことはかなわなかったわけなのだが… 「結局、みんな初心者かサード、よくてセカンドの上ってところだったな…」 「む~ぅ…ご主人様、もう一回、もう一回だけぇ!!」 「だからファーストランカーはそうそうこんなとこに来ないって言ったろ? おまえ、今日はなんでこんなとこにいるのか忘れてないか? もうすぐ時間なんだって」 「それは…そうだけどぉ…(せっかくノアねぇ達がいない今がチャンスなのにぃ…)」 「ファースランカーの神姫と戦いたいなら登録ID使って全国ネットとつながにゃならんし、大体今日はただの時間潰しなんだから…」 「そっか! その手があったね。それじゃあID使おうよ、ご主人様!」 「いや、だからおまえ時間が…」 「ダイジョーブ!! 今の私を止められるのなんてノアねぇぐらいしか思い当たらないよ!!」 ノアには止められるんだな… こんなことなら連れて来るべきだったか… 「ちなみにノアねぇ連れてきててもノアねぇも私と同じこと言うと思うよ。ご主人様はどっちの道こうなる運命なんだってば」 「…ショボイ運命なんだな」 仕方なく俺はバトルシステムのコンソールに入るとIDを入力する MASTER NAME 橘 明人 MASTER ID ************ これでいつものセットアップ画面に繋がる 登録神姫選択では勿論ミコを選択 条件はフリーバトル、ファーストランカー希望で『お遊び感覚の練習試合』ということを掲示しておく 「これでいいな?」 「うん! OKだよ。物分かりのいいご主人様ってス・テ・キ♡」 ゲンキンなやっちゃなぁ~ 「言っておくが5分以内に挑戦者が現れなかったら中断するからな。昴を待たせちゃなんのために早めに来たのかわかんねぇだ…」 「きたよ?」 「ろ?」 画面を見ると “CHALLENGER”の表示 「…マジかよ」 「私達がリーグ戦以外で試合するなんてエルゴ以外じゃあんまりないもん。私だって伊達に「ガンブレイダー」で通ってないんだから、普通興味が出るでしょ?」 それはそうだろうが… なんなんだろうか…なんだか嫌な予感がする…… 気のせいか? 「それより待たせちゃ悪いよ。早く終わらせるんでしょ? ご主人様、GO! GO!」 「あ、ああ……」 ミコに促されるかたちで俺は決定ボタンを押した 案の定俺の勘ってのは当たりやすいって事が証明された 「右方向からミサイル4!」 「うそ? また!?」 言ってる間にも接近してくるミサイル ホーミングモードが精密なタイプだ さっきからうっとおしいことこの上ない 「逃げ切れん…迎撃しろ!!」 「りょ、了解!」 すかさず両手のサブマシンガンで迎撃するミコ 一つ、二つ、三つ…もう一本は… “シュン!” ミコが打ち落としたミサイルの爆炎の中から残りの一機が飛び出してくる 「クッ!!」 この距離では打ち落としても爆風にやられる被害が大きい ひきつけてから緊急回避に移るミコ 間に合うか!? “ドガァァン!”っと地面にぶつかり爆発するミサイル ミコは!? 「きゃあ!!」 「ミコ!!」 何とか直撃は避けたようだがミコは爆風で地面をゴロゴロと転がる 「大丈夫か!?」 「う、うん…なんとかね…でも今までとは全然レベルが違いすぎるよぅ…」 確かにそうだがやはり少しおかしい これだけのレベルなのに俺はこの神姫をリーグ戦では見たことがなかった 普通高いランクの神姫とマスターには戦闘における特徴や癖という戦闘パターンがあるものなのだが…俺の経験上、これほどの実力をもつリーグランカーの戦闘パターンとはどれも一致しない しかも… 「こっちは名前を明かしているのに相手が匿名とは…」 そう、相手のマスターは名前を匿名設定にしている 俺はファーストランカーのマスター達とはけっこう顔見知りなので彼らが俺相手に匿名設定にするとは考えにくい… 「非公式バトルでならしたランカーか…あるいは…」 「…久しぶりだな…スケイス…」 「!!」 「え?」 俺が二の句を上げないうちに先ほどの爆煙の中からミサイルを撃ち込んできた相手が姿を現す タイプストラーフ 背中に背負った六連式ミサイルポッド以外は基本武装は通常のストラーフのものと変わらないんだが…一つひとつの装備のパワーや移動速度が通常の非じゃない…しかし違法改造でもないみたいだ その横のウィンドウには俺のよく見知った顔が映し出されていた 「……アル」 「……その呼び方はやめろ。ゴレに聞いたのだろう? 私はお前の敵だ」 ウィンドウに映ったエメラルドグリーンの目が俺のことを睨みつける 「お前にとって私は八相の『マハ』だ。それ以上でも以下でもない…」 まるで俺とは言葉での和解はありえないとでも言っているような目だ 「ご主人様…『マハ』って…」 「ああ…第六相、誘惑の恋人-マハー」 「誘惑の恋人…か。…今となってはその呼び名も意味を成さないが」 そういいながらマハは目を閉じた 「一つだけ聞いておいてやろう……どうして私を捨てた?」 「え?」 マハの言葉にミコは自分の横、俺が映っているウィンドウ方を振り返り、俺の顔を見てくる 無言だが「本当に?」というような不安そうな顔だ… 「…………」 「…五年前…どうしてお前は私に何も告げず、レスティクラムの世界から…私の前から去ったのだ……答えろ…スケイス!!」 「…………」 俺は何も言わない いや、何もいえなかった…ただ一言 「……お前には…関係ない…」 そうとしか言えない 「……なるほど、関係ない…か。それがお前の答えなのだな?」 そう言うとマハは再び目を閉じ、鼻で不敵に笑った 「言い訳ぐらいは聞いてやろうかと思ったのだが……いいだろう。宣戦布告を兼ねて貴様のそのオモチャ、叩き壊してくれる!!」 “ブィーーン”“ブィーーン”“ブィーーン” 「!!」 マハが言葉を言い終えるや否や、バトルシステムの異常を伝えるアラームが俺のコンソールスピーカーより流れ出した 「ご、ご主人様!?」 「これは…システムハックか!」 「ご名答、しかしこのオモチャのバトルシステムもレスティクラムと同等のレベルの対システムハック用のファイヤーウォールがあるようだな…。フィドヘル特製のハックシステムなのだが、お前のオモチャが一発でオシャカにならんとは…」 そりゃそうだろう 簡単に破られるようなファイヤーウォールなら神姫バトルはこんなに進化を遂げるもんかよ 「しかしスタンモードは解除できたようだ。これならお前のオモチャの運命はすでに決まったも同然だな…」 スタンモードの解除…か…。確かにそいつはちとヤバイかもな 「どういうことなの? ご主人様…」 不安そうに俺のことを見てくるミコ 「通常、武装神姫のネットワーク対戦、及び電脳戦ではバトル中こそダメージや損傷はあっても、本来のリアルの素体や元のデータには影響を及ぼさない…これが『スタンモード』だ。これはレスティクラムのナノロットユーザー同様、神姫自体の危険性を考慮した上でのシステムなんだ。ようするに、その役割は人で言うところの生命安全装置、神姫で言えばデータ保存システムになる。これが作動しなかった場合…」 「し、しなかった場合…」 「ナノロットユーザーは精神リンクで脳波を伝って本来の体にもダメージが現れる。大分昔の映画に『マトリックス』ってのがあってな、それと似たようなもんだ。神姫の場合はデータブレイク、つまり『削除』される…最悪のケースなら神姫も人も……死に至る」 「え…」 ミコの顔色が一気に蒼白になっていく 「オモチャ相手に死を語るか…お前の二つ名も落ちたものだな…スケイスよ…」 あくまでマハの顔は冷徹だった 「無論、途中棄権など生温い終わり方もナンセンスだ。離脱規制をかけさせてもらった。しかし、お前とてそこまで腰抜けになってはいないだろうがな…」 逃げ道まで塞ぐ…か なんちゅうえげつない… 「よくもまぁこんなことが出来たもんだぜ。お前だってそこのストラーフのマスターなんだろ?」 俺はさっきから何も言わずにうつむいているマハのストラーフを見ながら言った。武装神姫はただロボットやAIなんかじゃない。感情だってあるし自我だって存在するんだ。マスターであるなら誰だって分かる事だろうが!! 「ああ、これか…こいつもただのオモチャに過ぎん。私の言う通りにお前のオモチャとの対決のときのために訓練を積んでやったのだが…所詮はAI……なにがそんなに楽しいのか私には理解できん…こいつら武装神姫も…私達を…私を捨てこいつらにかまうおまえもな!!」 言うと同時にストラーフはこっち目掛けて突っ込んで来る 「チッ、接近戦に持ち込むつもりか!」 こちらとしては接近戦はまずかった いくらミコが接近戦も出来るとしてもそれはセカンドリーグレべルでのこと 相手のストラーフはファーストレベルの神姫、それに上位に食い込むぐらいの…だ 正直、分が悪すぎる 「くっ、ミコ! 相手の実力はノアクラスだ! 俺の指示をよーく聞かないとホントにオダブツものだぞ!!」 「の、ノアねぇと同じって…そ、そんな…」 そりゃびびるだろうよ…お前はこれまで何千回とノアと模擬戦やって一回だってまともに勝ったことはなかったもんな… しかも今回はへたすりゃ死んじまうんだから だけどな… 「ミコ、俺を信じろ」 「ご主人様…」 「俺がお前を死なすわけねぇだろ?」 そうさ、死なすわけにはいかない…ミコは俺の大切な神姫…俺の家族なんだから 「……うん!!」 そういってにっこり笑うミコ …やっぱりお前は笑顔の方が似合うな 「フッ!!」 相手のストラーフの斬撃がミコを貫かんと迫る 「一歩半下がる!」 「了解!!」 “ビュアッッ!!”っと鋭い音と共にストラーフの突きが空を切る 「フッ! ハァッ! ヤァァァァッ!!」 「右! 斜め左下! しゃがめぇ!!」 俺の読み通りの斬撃の軌道 俺の指示に忠実に従うミコ 「クッ!」 そして絶え間ない斬撃を何とかかわしていく しかし、それで精一杯なので反撃に出ることはできない これじゃジリ貧だ…何とか手を打とうにも俺も指示する為にストラーフの斬撃から集中を切らすことが出来ない まいったな… 「ほんと参ってるみたいだな、明人」 ああ、ほんとにまいったよ……… って、ん? スピーカー越しじゃなくてリアルな音声で聞こえるこの声は… “CHALLENGER” 「ハァァァァァァッ!!」 「!!」 「え?」 突如ミコとストラーフの上から聞こえてきた第三者の声 間髪いれずにいきなり現れた影は手に持った剣をストラーフ目掛けて振り下ろした 「クッ!!」 突然のことに焦りながらもバックステップで斬撃をかわすストラーフ 「かわしましたか。流石にやるようですね…」 ミコの前にあった影はそういいながら立ち上がった 銀色の鎧を纏った騎士だった その姿はまるで… 「『問おう。あなたが私のマスターか…』なんてお約束のボケはかましてくれないからな。俺のランは」 今度はスピーカー越しに聞こえてくる声 どうやらこの神姫のマスターのようだ 「……言わんでも分かってる」 「嘘つけ。ほんとはそっくりだと思ったくせに」 「どうでもいいが、せっかくの再会の第一声がそんなどうでもいいつっこみかよ…」 「俺は野郎との再会まで感動的にするほどカッコつけでも暇人でもない」 「……それは親友相手でも有効なのか? 昴」 そう、さっきの声の主、この銀色のサイフォスのマスターは昴だったみたいだ 「え…この人がご主人様の幼馴染で親友の花菱 昴さん?」 サイフォスの横に映っているスバルを見ながらミコが俺に質問する 「ああ、そうさ。俺が明人の初代パートナー、花菱 昴だ。君は…ミコちゃんだね?」 「え? どうして私のこと…」 「とりあえず話は後だ。今はこっちのシャレにならない痴話ゲンカを止めないとな…」 「痴話ゲンカって…」 「よう、アル! 久しぶりだな!」 そういってマハとストラーフの方に視線を戻す昴 「……メイガス…か」 「え? メイガスって……そしかして八相の-メイガス-!?」 驚くミコ そういやそれも言ってなかったな… 「フッフッフ~、サインは後からにしてくれよ? ミコちゃんw」 余裕だなコイツは… 「ともかく! アル…いや、今はマハのほうがいいか……今日のところは引き上げてくれないか? 俺は無駄な殺し合いはしたくない主義なんだ。それが昔なじみならなおさら…な」 「昔馴染み…だと? キサマもスケイス同様、こちらの世界を捨てておきながら勝手な言い草だな」 「…確かにそうだ。弁解しょうもねぇよ」 大袈裟に肩を上げてジェスチャーする昴 「………興ざめだ。今日のところは見逃してやろう…」 マハがそう言うと踵を返すストラーフ 「ありがたいね。こんなハプニング、時差ボケには結構くるもんだからw」 何でお前はそこで茶化すかなぁ… 「……次はないと思え…スケイス…」 そういい残すとマハとストラーフは俺たちの前から姿を消してログアウトした 「始めまして。モデルサイフォスのランスロットです」 「……………」 「……………」 そう言いながら笑顔で握手を求めてきた金髪美女に俺とミコは唖然としていた 口なんかホゲ~っとあいてふさがらねぇ 「あ、あのぉ~……;」 なかなか握手に応じようとせずに固まっている俺たちに金髪美女の笑顔はだんだん不安げな顔になっていく 「えっと、昴君。どっからつっこめばいいんだ?」 「だからさっきも言ったろ? 俺のランはボケやジョークとかは苦手なんだって」 「じゃあ…この人がさっき私を助けてくれた…銀色の騎士さん!?」 「はいw」 あ~あ~あ~ なんだか訳が分からん こんがらがりそうだ なんだ、要するにあれか? このランスロットって子も、つまりは… 「人型神姫インターフェイスの試作機…ってことなのか?」 「大当たりー!」 あ、そう……当たっちゃったのね…… 「なんだよ、お前の爺様から聞いてないのか? 俺はてっきりもう知ってるものだと…」 「いやいやいやいや!! つうかお前が神姫のマスターになったってのも今、始めて知ったから!!」 「だってお前の爺さんがモニターになってくれって頼むもんだから…」 「…どれぐらい前だ?」 「三ヶ月前」 あのジジイ… わざとだな… 「じゃあ私の妹になるわけだね? ヨロシク! ランスロットちゃんw」 「えっと、まぁとりあえずヨロシクな、ランスロット」 「ええ、よろしくお願いします。それと…私のことはランとお呼びください。明人様、ミコ姉様」 「そか、ならそう呼ばせてもらうけど…俺のことも明人でかまわないよ。『様』なんてつけられるのはやっぱり…がらじゃないんだ」 「そう仰っていただけるのなら…では『明人さん』でw」 う……なんちゅう上品な微笑ですか!! イギリスの上級貴族って感じだな 正直、サイフォスにはいい思い出は無いのだが…いやいや、こりゃまたマジで綺麗…… 「言っておくが…惚れるなよ?」 「あ、アホタレ。いきなり何を言い出すんだ…」 「いや、いまのは明らかに見とれてたぞ。ランは俺のだからな」 「ンなわけないだ…いたっ! いたたたたたたた!?」 何か知らんが左胸が突然痛い!! “ダダダダダダダダダダ!!”と少し小さめの銃声 「っておい! ミコお前何やって…っていたたたたたた!! そ、そんな至近距離からマシンガン打ち込むな!!」 俺の胸ポケットにいたミコは俺の方を向きながら無言で黙々とマシンガンをフルオートで打ち続けていた… 追記 「そういえばご主人様」 「いたたたたたっ…あん? なんだ?」 「あれってさ、あたし達の勝ちだよね?」 「は? 何のことだ」 「だから、マハさんとのバトルだよ」 「いやおまえ…明らかに劣勢だったろ…」 「じゃあこれは?」 そういって一枚の紙切れを俺の手に差し出すミコ 「なんだこれ?」 「勝敗記録のレシート」 「どこでこんなもん…」 「センターの受付のお姉さんに貰っといたんだよ。そんなことよりさ、そこ見てよ」 俺はミコが指差すところには… 「んーと……『相手の戦闘離脱によりギブアップとみなし勝利』……」 「ね? ね? ほら! 勝利って、勝ちって書いてあるでしょ!?」 「いやでもおまえ…」 「どんなことでも勝ちは勝ちだよ! 勝負の世界は現実だけを求めるんだよ!! そうでしょ!」 ここぞとばかりに捲くし立てやがって……ん? 「ご・主・人・様ぁ~? 約束どおり、お願いきいてくれるんだよねぇ~? ん~?」 「……残念だったなミコ」 「へ? なにが?」 「レシート、良く見てみろって」 「良く見てみろって…どこを?」 「ここだよ、ここ」 「ええっと……『対戦相手……匿名……サードランクぅぅ!?』」 「そ、あいつらはサードランカーなんだよ」 「だ、だってだって! おかしいよ! あんなに強かったのに!!」 「あいつにとって今日のバトルは宣戦布告だって言ってただろ? ようするにネットワークサービス用のIDさえ手に入れられればリーグランクなんてどうでもいいってことさ。確か約束は『ファーストランクの神姫とマスターに勝ったら』…だったよな?」 「そ、そんなぁ……で、でもでもぉ!! ご主人様だってあのストラーフのことノアねぇレベルだって言ってたじゃない!!」 「残念だったなぁミコ君。 勝負の世界は現実だけを求めるんだよ 」 「そ、そんなのないよぉぉぉ~~~!!」 続く メインページへ このページの訪問者 -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2232.html
ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その3 ◆ 翌朝。 昇降口で上履きに履き替えようとしたところで、呼び止められた。 「おはよう、八重樫!」 「あ……おはよう、安藤くん」 今日は普通に笑えているだろうか。 そんなことばかり気になってしまう美緒である。 昨日の今日で、安藤とはずいぶん距離が縮まった、ような気がする。 ほら、今も彼の顔がすぐ間近に…… 「……って、うわぁ!」 安藤の端正な顔がすぐ隣にあって、思わず飛び退いてしまった。 だが、安藤はいたって普段通りの様子で、不思議そうにこちらを見ている。 「どうかした?」 「え、えと……なんでも、ない……」 「そっか。昨日はありがとな。助かったよ」 「そんな……大したことしてないし」 「それでさ、よかったら今日の昼休みも付き合ってくれないか? 聞きたいことが山ほどあってさ」 「うん……」 当然、美緒に断ることができようはずもない。断る理由もない。 美緒が小さく頷くと、安藤はさわやかな笑みを浮かべた。 「じゃあ、昨日と同じ、屋上で。よろしくな!」 「うん」 安藤は颯爽と朝の廊下を歩いていく。 その背中が、なんだか美緒にはまぶしく感じられた。 美緒はしばらくその場に立ち尽くしてしまっていた。 頭がぼーっとしている。 これは何という夢の続きなのだろうか……。 「みーお」 そんな美緒を一瞬にして現実に引き戻したのは、背後から聞こえてきたハスキーな呼び声だった。 声に聞き覚えはありすぎる。 美緒はものすごい勢いで振り向く。 はたして、そこには、彼女の親友である三人、有紀、涼子、梨々香の姿があった。 三人とも、なんとも言えない笑みを口元に浮かべつつ、目を細めながら、なまあたたかーい視線で美緒を見つめていた。 「あ、あ、あなたたちっ……!?」 「ほほーう、昨日一日でずいぶん進展したようですなぁ、涼子さん」 「そうですねぇ。ゲーセンで待ちぼうけしていたかいもあった、というものでしょうか、梨々香さん?」 「もう、いやですわねぇ、お二人とも。それを口にすることこそ野暮と言うものですわよ?」 美緒は背中にいやな汗が流れていくのを感じた。 三人は、昨日美緒がゲーセンに顔を出さなかったことを怒っているのだろうか? いや、そうではない。 これはもっとたちの悪い何か。 そう、三人は面白がっているのだ。 だから、美緒は弁解する言葉さえ失ってしまう。 美緒がムキになって言葉を重ねるほど、泥沼に陥ってしまうだろう。 この親友たちは、たちが悪いことでは折り紙付きだ。 「なに落ち込んでるんだよ、美緒。あたしたちはアンタの味方だよ?」 「そうそう。あなたを応援してるわ。リーダーの美緒には、幸せになって欲しいから」 「大丈夫。わたしたちに任せて。安藤くんとうまくいくように、三人で全力でフォローするからね!」 激励が猛烈な不安と化して、重く肩にのしかかってくるのはなぜだろう。 美緒は重たいため息を一つついた。 そして、親友たちに教室まで連行された。 有紀たち三人が、朝から美緒を囲んだのは、何もからかうためだけではない。 学年女子のアイドル的存在の安藤には、過激派的な自称恋人候補が、少数ではあるが存在する。 朝の昇降口での、美緒と安藤の親密さを見れば、過激派が美緒を女子トイレあたりに拉致する危険性は確実にある。 そこで三人は先回りして、高校の最寄り駅から、登校中の美緒を尾行していたのだ。 四人揃っていれば、過激派たちもおいそれとは手が出せないはずだ。 面白がってからかってはいても、やはり美緒は彼女たちのリーダーであり、大事な親友であった。 ◆ 安藤を狙う女子連にとって、八重樫美緒はもはや最重要人物になっていた。 彼女たちは早朝より、情報収集と共有を行っていた。 そして、昨日の放課後に安藤と美緒の間になんらかの事象があり、二人の仲が深まったと結論づけられた。 今朝の安藤と美緒のランデブーとその会話の内容についても、朝のホームルームまでには情報共有が済まされていた。 一部の過激派が、八重樫拉致に動きかけたが、八重樫美緒には私設の護衛が張り付いており、強襲作戦は失敗に終わっている。 その結果を受け、女子連は休戦協定を無期延長。共通の仮想敵である八重樫美緒の動向を探り、可能であればこれ以上の侵攻阻止のために、団結することとなった。 情報によれば、ターゲット・八重樫は、今日もまた安藤と、屋上で昼食を共にするようだ。 昨日は会話が直接聞き取れなかったことが情報不足を招き、その後の対策が行えずじまいだった。 だが、今日の女子連の動きは迅速かつ的確だった。 昨日と同じ轍は踏まない。 二人が落ち合う屋上のベンチを同じ場所に想定、盗聴器を仕掛ける。 そして、安藤と美緒がそのベンチに座るように仕向けるため、手を打った。 ある者は友達と誘い合って屋上で昼食を取る。 ある者は部活の先輩に依頼して、カップルで屋上での昼食をするように仕向ける。 ある者は賄賂(パックの飲み物人数分)をクラスの男子生徒のグループに渡し、屋上での昼ご飯を依頼した。 いつの間にか設置されていた美緒のクラスの作戦本部には、屋上の見取り図が用意され、次々と空きのベンチが塗りつぶされてゆく。 そして午前の授業終了前に、作戦の準備が整った。 もちろん、安藤と美緒の二人は、そんなことを知る由もない。 ◆ 「おーい、八重樫、こっち!」 昨日と同じように五分後に教室を出て、昨日と同じように安藤がベンチから手を振っていて、昨日と同じようにジュースのパックを彼からもらった。 今座っているベンチも、昨日と同じだ。 今日も快晴。 屋上で昼食を取るには気持ちのいい日和である。 安藤と一緒にいることにも慣れてきたのか、昨日よりは幾分緊張しないですんでいる美緒だった。 今日も安藤は焼きそばパンをかじっている。 美緒はいつもどおり手作り弁当だ。 談笑しながらの昼食は、昨日よりも楽しく感じられた。 こんな昼食が毎日続けばいいのに、と思うのは贅沢だろうか。 いつも昼時を共にしていた三人の親友に、美緒は心の中で手を合わせて謝った。 ◆ その三人は、やはり昨日と同じ階段ホールの陰から、美緒たち二人を見守っている。 もちろん、周りには、クラスメイトの女子たちが陣取っていた。 有紀は小型のワイヤレスヘッドセットに耳を傾ける。 携帯端末の電波の受信域をあわせ、盗聴器からの音声を拾い、聞いているのだ。 感度は良好。 その場にいる誰もが、二人の会話を盗み聞いていた。 涼子が小さく呟く。 「スパイ大作戦も真っ青ね」 「なんだそりゃ?」 「古い海外ドラマ」 有紀は、涼子の意味不明の呟きに首を傾げたが、すぐに忘れてしまう。 今は二人の動向の方が重要だ。 有紀はヘッドセットに注意を傾けながらも、視線をベンチの方へと送った。 ◆ 「……それで、今日の相談は?」 美緒が水を向けると、パックを置いた安藤が、待ってましたとばかりに、傍らに置いた包みを取り上げた。 どこかの書店の紙袋のようである。 「昨日の帰りに、本屋に寄って、神姫関係の雑誌を買ってきたんだ」 「へえ」 「それで、書いてあることで分からないことが多くてさ……」 えてして、専門の雑誌というものは、初心者の読者に優しくない。 情報の鮮度を優先し、専門用語や知識を解説することはないからだ。 さもありなん、と美緒は頷いた。 「それで、帰ってから姉貴に思い切って雑誌見せてみたんだ」 安藤が取り出した雑誌は二冊。 今表紙が見えているのは、週刊バトルロンド・ダイジェストの最新号である。 「お姉さん?」 「そう。そしたら、この雑誌のバックナンバー押しつけられてさ。 『読め、そして泣け!』とか言って、わけわかんねー。 雑誌記事で泣くとか、なんだそりゃって感じだよな」 そして安藤は、そのバックナンバーを最新号の下から取り出す。 その表紙を見て。 美緒は今度こそイチゴミルクを吹き出した。 ◆ 「ああ、もう美緒ちゃんったら……ジュースを吹いたりしたら、台無しじゃない。ここまで上げてきた好感度が急降下よ、もう」 一部始終を見ていた梨々香の感想である。 梨々香たちがいる階段ホール裏からでは、くだんの雑誌の表紙は見えない。 「いったい、何の表紙だったのかしら……」 涼子が呟く視界の中で、美緒が猛烈にむせていた。 すると、隣にいる安藤が、美緒の背中に手を当てた。 周りにいる女子連中の、息を飲む気配。 有紀は小さくガッツポーズした。 ◆ 「ごほっ、ごほっ、えほっ」 「大丈夫か、八重樫」 さすがにみっともなくて、美緒は泣きたい気分だった。 でも、背中をさすってくれる安藤の手は優しい。 しばらくして、呼吸も元に戻ってくる。 もう大丈夫、と言って、安藤からバトルロンド・ダイジェストのバックナンバーを受け取った。 表紙に写る二人の神姫。 美緒はそのうちの一人を撫でるように、そっと指で触れた。 感慨は深い。 表紙の写真は、『ハイスピードバニー』ティアと『アーンヴァル・クイーン』雪華が抱き合っている様子だ。 「八重樫は、この神姫たちを知っているのか?」 「うん……よく知ってる」 この場面に、美緒は立ち会っていた。 神姫マスターとして、決して忘れられない大切な出来事だった。 「この二人は、わたしとパティが一番尊敬する神姫なの。 この時の出来事は、よく知ってるわ。この前のことも、その後のことも……」 「八重樫……泣いてる?」 「え……?」 いつの間にか、美緒の瞳から頬に涙の筋が通っていた。 「や、やだ……ごめんね……泣くつもりなんて……」 美緒はあわてて目をこする。 無意識のうちに涙がこぼれた。 美緒の中には、あの事件に対し、関わることができたことへの誇らしさと、自責の念がある。 表紙のティアを見て、そんな複雑な感情が溢れてきたのだった。 「その泣いてる方の神姫さ……姉貴が大ファンらしいんだよ」 「え、そうなの?」 「やっぱ、ウサギだからなのかな……ああ見えてウサギ好きでさー」 「へえ……」 「もしよかったら、この神姫のこと、教えてくれないか? 姉貴にも教えてやりたいし……オレも聞きたい」 安藤に見つめられて、美緒は胸に手を当てる。 大丈夫、感情の揺れはもう収まっている。 新たに神姫のマスターになった安藤には、是非聞いてもらいたい。 「うん。話すね。この神姫……ティアのこと、そのマスターのこと。 二人は……神姫とマスターの関係になるために、すべてを賭けて戦って……運命さえ覆したの」 「……大げさだなあ」 肩をすくめて笑った安藤に、美緒はただ微笑みを返した。 ◆ 美緒は語り上手だった。 彼女の記憶は再構成され、一つの物語として語られる。 その物語の内容については、拙作「ウサギのナミダ」を参照されたい。 彼女の口調はよどみなく、その柔らかな声に誘われ、物語世界に引き込まれていく。 安藤も聞き上手だった。 相づちを打ちながら、彼女の語りを止めないようなタイミングで質問したりする。 それは聴衆の多数が疑問に思ったことで、説明が補足されて、さらに物語は鮮明になるのだった。 いつしか、盗聴器に傾注していた女子連のほとんどが、美緒の語りに引き込まれていた。 「その男の出現に、ティアは動揺したと思う。 ティアの過去を知る……いいえ、ティアにずっとひどいことをし続けた人物だったから。 きっと、怖くて怖くて、仕方がなかったはず。 だけど、彼女は一人じゃなかった。 ティアのマスターは、その男に敢然と立ち向かったわ。 『ティアは決して渡さない』って言い切った。 ティアの過去をばらされても……ティアは自分の神姫だって主張し続けた。 彼にとってはもう、ティアはとても大切な存在になっていたの。 だけど……その後、とんでもないことが起こった。 その醜い男のせいで、二人は絶望の淵に追い込まれることになったのよ……」 安藤がごくり、とのどを鳴らす。 と、そのとき。 全校にチャイムの音が響きわたった。 午後の授業五分前の予鈴だ。 美緒は小さく吐息をつく。 「あ……途中だけど、そろそろ教室に戻らなくちゃ」 「そうだな……」 安藤と美緒はベンチから立ち上がった。 「なあ、八重樫」 「はい?」 「……今の話の続き、また明日にでも聞かせてくれないか」 「え?」 「だって、まだこの雪華とかいう神姫が出てきてないじゃんか。続きも気になるし」 「うん……いいよ」 「それじゃあ、また明日昼はここで!」 「うん」 美緒は頷きながら、ようやく心からの笑みを安藤に向けることができた。 ◆ 階段ホール裏では、女子連中が全員ずっこけていた。 「な、なんちゅーとこで話切るのよ、あの子!」 「美緒……恐ろしい子!」 あのゲーセンに通い詰めてでもいない限り、知る人ぞ知る話だ。 女子連の誰も、ティアの話を知らない。 続きがとても気になる。 しかし、その話の続きを聞くには、明日、また安藤と昼食を共にすることを容認しなくてはならなかった。 その場にいた、美緒の親友たちに話の続きを尋ねたが、三人ともニヨニヨと薄気味悪い微笑を浮かべるばかりだった。 美緒本人に話の続きを語らせるという手もあったが、しかしそれでは、安藤との会話を盗聴したことがばれてしまう。 彼女たちに選択肢はなかった。 美緒と安藤の逢い引きを監視するという名目で、美緒の語りを聞くほかには。 こうして、美緒がティアの物語を話し続ける限り、女子連は美緒に手出しできなくなったのだった。 ◆ 高い空に、終業の鐘が鳴り響く。 「おーい、やえが」 「あーおわったおわった美緒今日はゲーセン行くか?いくよなよーしそれじゃあ今日は存分に対戦だレッツゴー!」 し、と安藤が言い終えるよりも早く、有紀は美緒を抱えて、風のように教室を去った。 その後を、自分と美緒の分の荷物を抱えた梨々香が、これまた風のように教室を出て行く。 声をかけようとしていた安藤は、その場で硬直してしまっていた。 「残念だったわね、安藤」 固まっている彼に声をかけたのは、旧知の女子・蓼科涼子である。 二人が小学校からの知り合いで、お互いに気がないのは周知の事実だ。 だから、うるさい女子連も、涼子が話しかけるときは、全く警戒していない。 「蓼科……なんなんだ、園田のヤツ」 「あなたが美緒を独り占めしてるから、嫉妬して拉致したのよ」 安藤は思わず目を見開いていた。あの蓼科涼子が冗談を言っている。 「美緒に用があるなら、あとでT駅前のゲームセンター『ノーザンクロス』に来て」 「え?」 「あなたの神姫を連れてきなさい。武装も持ってね。美緒もわたしたちもそこにいるから」 「……なんで?」 煮え切らない安藤に、涼子は眉根を寄せた。 「安藤はバトルロンドがしたいんじゃないの? そうじゃなきゃフルセットの神姫なんか買わないでしょう」 フルセットの武装神姫とライトアーマーでは、マニュアルの大きさ、厚さが違う。 昨日の昼休み、安藤が持ってきたマニュアルは、明らかにフルセットのものだった。 「まあ……そう、だけどさ……」 「だったら、つべこべ言わずに来るといいわ。バトロンのことも神姫のことも教えて上げる。……主に美緒が」 最後の言葉だけ安藤に聞こえるように言って、涼子は踵を返した。 安藤は首を傾げつつ、彼女の背を見送った。 ◆ 「ちょ、ちょっと有紀……! いったい何なのよ!?」 美緒は自分を小脇に抱える親友に抗議する。 有紀は校門を出たところでようやく美緒を降ろした。 下校する生徒たちの視線が痛い。 「おー、わりいわりい」 有紀は悪びれる様子もない。 後ろから、梨々香がとてとてと付いてきた。 「はい、美緒ちゃん」 渡された荷物を仏頂面で受け取る。 いったいなんなのか。 親友二人の顔を睨むが、二人ともなま暖かいまなざしでニヨニヨと微笑するばかりで、何を考えているのかさっぱり分からない。 「まあ、そう睨むなよ。悪いようにはならないからさ」 「そうそう。とりあえず、ゲーセンいこ? そこで待ってれば分かるから」 親友たちの言葉に、不安が増大するのはなぜだろう。 ここに涼子がいないのも気にかかる。 まさか安藤くんに何かあることないこと吹き込んでいるのではあるまいか。 しかし、結局美緒は為すすべもなく、有紀と梨々香に連行された。 ゲームセンターに着くまでの道のり、女同士の友情について、ひたすら考えていた。 ◆ T駅前のゲームセンター『ノーザンクロス』は、安藤も知っている店だ。 何度か友人たちと遊びに行ったこともある。 バトルロンドが盛んで、美緒たち四人が入り浸っていることも知っていた。 だが、一人で入るのは初めてだった。 しかも神姫連れである。 少しばかり戸惑って、足を進めるのに躊躇するのも致し方のないところであろう。 安藤は、アルトレーネのパッケージを入れたスポーツバッグを手に、ゲーセンの前で立ち尽くしている。 だが、そうしていても意味はない。 意を決し、安藤はゲームセンターの自動ドアをくぐった。 扉が開き、独特の喧噪に包まれる。 入り口に配置されたプライズマシンやプリクラ機の筐体の陰から、大型ディスプレイの映像が見える。 武装神姫同士のバトル。 彼が目指すコーナーは一番奥にある。 安藤は緊張した面もちのまま、歩を進めていく。 バトルロンドのコーナーは予想以上に盛況だった。 対戦台はすべて埋まっている。 神姫連れで気後れしていた安藤であったが、そんな必要はどこにもないことがわかる。 このコーナーにいる客は皆、堂々と神姫を連れているからだ。 安藤はあたりをきょろきょろと見回した。 探す人物とその仲間たちはすぐに見つかった。 八重樫美緒と仲間たち。 彼女たちはバトルロンドコーナーの壁際に陣取って、何事か話している。 四人の視線は、すでにこちらを向いていた。 安藤は四人の方へと歩いていく。 「言われたとおり、来たぞ」 少し棘のある口調も仕方のないところだ。 充分な説明もされずに呼び出された上に、美緒以外の三人はなにやら不気味な微笑を浮かべている。 何か企んでいることは確実だ。 「ノーザンにようこそ」 真顔に戻って涼子が言う。 このゲームセンター『ノーザンクロス』は、客からノーザンと略される。 安藤は涼子と視線を合わせた。 「いったい何なんだ。確かにバトルロンドやるつもりではいたけど、何を企んで……」 「ばかね。あのまま学校であなたと美緒が話し続けてたら、それこそ学校中の噂になってるわよ。だからゲーセンに来てもらったの。ここでなら、クラスメイトの横やりも入らないでしょう」 「う……」 確かに、涼子の言うことは一理ある。 バトルロンドをプレイしにゲーセンに来ていることにすれば、美緒たちと話していても何の問題もないし、よけいな横やりも入らない。 「おまえらもバトルロンドをやるのか」 「ったりめーよ! あたしたちはここじゃ『LAシスターズ』で通ってるんだぜ?」 有紀は安藤に胸を張って見せた。 確かに、美緒たち四人は最近、『LAシスターズ』あるいは『シスターズ』と呼ばれている。 LAはライトアーマーの略だ。 ライトアーマー神姫を操る四人組の少女たちは、もともと目立つ存在だった。 最近は陸戦トリオと一緒にいることでさらに注目を集めているし、めきめきと実力を上げてきていて、一目置かれるようになってきている。 それで、いつの間にか誰かが、LAシスターズと呼ぶようになっていたのだった。 「そうか、それなら教えてくれよ、バトルロンド」 「いいとも。マンツーマンで教えてやるよ。……講師は美緒で」 「え……ええぇっ!?」 有紀の言葉に泡を食ったのは、美緒本人だった。 「あ、あの、な、なんでわたし!?」 「えー? だって、あたしたちん中じゃ、パティが一番強いしー」 「わたしの涼姫はオリジナル装備だから邪道だしー」 「ここはやっぱり、リーダーの美緒ちゃんの出番でしょ!」 もっともらしい解答を並べた有紀、涼子、梨々香は、一様になまあたたかーい視線で美緒を見ていた。 楽しんでる……絶対楽しんでる。 もはや女同士の友情を疑わざるを得ない美緒だった。 それでも、 「それじゃ……引き続きよろしくな、八重樫」 と安藤くんが笑顔で言ってくれたから。 美緒は頷いてしまうのだった。 ◆ それが火曜日の話で、それから毎日、安藤はノーザンクロスにやってきて、バトルロンドをプレイした。 安藤は最初から目立っていた。 彼の神姫・オルフェが、今話題のアルトレーネ・タイプだったこともある。 彼につきっきりでレクチャーしているのは、LAシスターズの面々だ。 実はシスターズは、このゲーセンでは密かに人気を集めている。美少女ぞろいなのだから、それも当然というものだろう。 ノーザンクロスの常連たちが、そんな安藤を放っておくはずもなかった。 新しいプレイヤーと知って、好意的に話しかけてくる常連もいた。 目立っている彼の鼻っ柱を折ってやろうと、強気に挑んでくるプレイヤーもいた。 しかし、いずれのプレイヤーたちとも、対戦後には仲良くなっている。 安藤は人がよく、謙虚な姿勢で、むしろ彼の方から教えて欲しいと頼んでくる。 彼の謙虚さと向上心溢れる姿勢に、常連たちは皆好感を持ち、すぐに打ち解けた。 こうして、週末前の金曜日には、安藤はすっかりノーザンクロスの常連たちの仲間に入っていた。 彼とシスターズを中心に、和やかな笑い声が聞こえてくる。 しかし、それを快く思わない者もいた。 「チッ……安藤のヤツ……ゲーセンでも調子に乗りやがって……」 そう呟いた少年の名は、蜂須英夫。 ノーザンクロスにおける『三強』の一人で、『玉虫色のエスパディア』の異名を取る神姫マスターである。 続く> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/84.html
レイドボスバトル 概要 マップ 難易度設定 攻略初級編近接攻撃の立ち回り 遠距離武器の立ち回り 上級編近接攻撃の立ち回り 遠距離武器の立ち回り WAVE1 WAVE2 WAVE3 バグ・ボス情報小型バグ初級 上級 中型バグ初級 上級 大型バグ(レイドボス)初級 上級 報酬 アップデート履歴 コメント レイドボスバトル 2021.08.18~09.06 9 59(14日)の期間限定イベント。 全国のプレイヤーとオンラインで協力バトルできる。 ロケテストやカードゲーマーでは、一人プレイだけどボスを倒してスタンプを集めるオフラインレイドモードの存在が確認されたが、今回は実装されず。後のレイドボスバトル(常設)にて実装された。 オンラインレイドのマッチングは1分。見つからなかった場合は、その人数分COMが充当される。 最初の30秒は店内でマッチングを開始し、30秒間一人も見つからなかった場合、全国にマッチング範囲を切り替える。ただ必ず店内同士マッチングできるわけではないとのこと。 店内で一人でもマッチングした場合、全国にマッチング範囲は広がらない。 要はエンジョイジェムバトルと同じマッチング仕様。 概要 「ほぼすべてのインフラを支える神姫netに謎の障害が発生! その原因は武装神姫Rの世界から送られてきた謎の電子生物バグが確認された。 生活インフラからゲームセンターまでマスター達の生活を守れ! 最大4人のマスターと協力して、「バグ」と呼ばれる敵と戦う。 60秒+120秒にわたって襲来する集団を撃退した後、続いて240秒の時間内にボスを討伐する事が出来れば勝利となる(つまりゲーム時間は420秒)。 WAVE1は小バグ×8体、WAVE2は中バグ×8体、WAVE3は中バグ×4体+大型バグ(レイドボス)×1体。 青いバグは近接武器、赤いバグは遠距離武器が有効。 いずれも倒されるとリスポーンするが、通常のジェムバトルで神姫を倒した場合と同様、 倒された後も当たり判定が数秒ほど残っている。 小型バグ中型バグのサーチ範囲は片手ライトガンの射程(0.20)と同じくらいの模様。 ターゲット変更ボタンは通常のジェムバトルと働きが違い、 基本的にレバー上側が最も近い相手、下側が最も遠い相手からそれぞれロックオンしていく。 ボスには5箇所の部位があり、うち4箇所は破壊すると一定時間ダウン(行動不能)する。 部位によって有効な武器種が異なる事に注意。 攻撃範囲が広い武器で攻撃すれば、一度に複数の部位にHITする。 仲間の神姫と同じ敵をロックオンすると、攻撃にダメージボーナスが追加される。 (2人で+20%、3人で+40%、4人で+60%) 回復・補助武器で仲間に攻撃を当てると、仲間のLPを回復させる事が出来る。現状では… 「オルフェウス」(イーアネイラ) 「マルレーン712[C]」(シュメッターリング) 「ホーリーエコー」(ハーモニーグレイス) の追加武器3種となっている。 (ブライトフェザーのバスターシュリンジやスタンショッカーも適合しそうなものなのだが……) バグ、ボス共に「防御力ダウン」等のデバフ系スキルの効果を受けるが、効果がどれくれいかは不明。 「状態異常スタン」等一部のスキルは効果を受けない。 なお、このバグは「武装神姫R」の世界から流入してきたものである事が判明している(エーデルワイスの項も参照)。 集団の姿はプチマスィーンに、ボスの姿は「グラディウス」シリーズのダッカーに類似する。 ビジュアルイメージに対し体躯がかなり大きいのは、おそらく誤射防止のためか。 NPCとして「謎のエーデルワイス型」が登場。参加プレイヤーが一人か三人の時に戦場に姿を現す。 ステータスはLV60かLV100の模様。AIは他のジェムバトルと同じ。 なお、武装神姫Rの設定もあり、エーデルワイス用武装の防御力に少量のバフが掛かっている。 ジェム回収ボタンの仕様が変更されており、レイドバトルでは撃破された仲間にジェム回収範囲を当てることで、再出撃までの交代時間を短縮することがでる。 (レイドバトルはジェムバトルより再出撃までの時間が倍近く長くなっている) レイドバトル中は仲間をロックオンできず、画面タッチでのみロックオンすることができる。 また、ロックオンせずともジェム回収範囲が当たればOK。 ジェム回収展開速度は他のジェムバトルと同じ仕様。 チャットボタンのタッチによって他マスターへメッセージを送る事が可能。 メッセージ内容は「よろしんき」「ありがとう」「たすけて」「グッジョブ」「武装神姫」の5種類固定で設定されている。 マップ 神殿に近いが、神殿よりもオブジェクトが減ってほぼ更地と化している。そしてMAP全体が闇に包まれており… 近接バグは上に攻撃できないため、MAP四つ角にある背の高い柱に乗れば近接バグからの攻撃が届かずに済む。 難易度設定 「初級」と「上級」の二種類がある。 ※所属リーグに関係なく、他のバトルモード(マッチング)と共有しない。 「初級」はエンジョイジェムバトルと同じく、武装LVが20に強制統一される。 「上級」には武装LVの強制統一などはない。敵のLVは所属リーグに影響されない。LV100相応。 攻略 同時ロックオン補正があるが、それ以上に武器補正ダメージボーナスの方が大きいです! 例) 誰もロックオンしていない近接バグに遠距離攻撃>4人全員がロックオンした近接バグ(+60%)に近接攻撃 初級編 近接攻撃の立ち回り 元々ハイリスクローリターンなカテゴリーだが、バグ相手ではさらに分が悪くなってしまう。 小型中型の近接バグのDPSがかなり高く、こちらからの武器補正もないのでまずダメージレース負けする。 殴りあうと損害がとんでもなく大きくなるので、基本的に相手にしないのが良いのだが、逃げ切るのは不可能。 報酬は諦めて柱に乗ってひたすらやり過ごすのも手だが、WAVE3では通用しない。 正直レイドボスよりも中型近接バグをどう対処できるかがクリアに繋がっていると言っても過言ではない。 もちろんレイドボスも厄介。どの攻撃も強烈で、長時間殴れることはほぼない。 ウェポンやボディに攻撃が届かない ダメージボーナスがないので、攻撃する箇所はほぼ脚のみとなる。(回し蹴りと後ろ蹴りの軸足になっている左脚が狙いやすい) 遠距離武器の立ち回り このバトルでの大切なダメージ源。遠距離から攻撃できるというだけでどれだけ楽に立ち回れるかが分かるだろう。 とりあえずヴァッサーマン・D-MPやFB256 1.2mm滑腔砲等の射程が長い武器で観察と攻撃を繰り返してレイドバトルの経験を積もう。 ただ射程が長い=DPSが低いなので、ある程度慣れてきたらDPSに優れた片手ライトガンを装備しよう。中でもポーレンホ-ミングがオススメ。典型的なPLには当たり難いがCOMには当たり易いという性質が理由。装弾数を3にすればかなりのDPSになる。 10/7から再開された際にはバグステータスに調整が入り多段hit系の射撃武器は装備構成次第でかなり与ダメージが減少するよう調整されたので考えもなしにポーレンホーミングを使うと泣きを見る羽目になる。近接バグも割りと固まって襲って来やすくなったので爆風付きの腰持ちヘビーガンには追い風となっている。 上級編 近接攻撃の立ち回り 基本は初級と同じだが、よりダメージレース負けしやすい。 初級では他の近接武器カテゴリーでクリアできるが、上級ではほぼ双頭刃斬撃武器一択。 遠距離武器の立ち回り 必要なダメージ量が増えたので生半可な武器ではタイムアップする。 やはり装弾数を3にしたポーレンホ-ミングがオススメとなる。耐近接攻撃があってリロードが高速化するフォートブラッグもオススメ。 しかもお互いにシナジーがあるので、とりあえず困ったらフォートブラッグに装弾数を3にしたポーレンホ-ミングで良い。というかそれ以外だとかなり難易度が上がる。 WAVE1 60秒と短い上に敵が最大6体しかMAPに存在できないので、最大報酬まで獲得するのは結構難しい。撃破したらすぐ別のバグを狙おう。 遠距離バグの攻撃ダメージはしょぼいので無視して良い。 60秒経てば次のWAVEに進む MAP下側に遠距離武器持ちバグが出現しないので、最悪MAP下側の柱の上に乗ってるだけでも良かったり。 約15秒経過すると40秒間MAP左上にスキルポッドが出現する。 WAVE2 120秒間ひたすら近接バグを凌ぐ。 理論上四人でMAP中央に居続ければどのバグも起動させずに済ませられるが、COMが一人でも入るとアウト。 自信がなければやはり柱の上に乗るのが一番。すぐ隣の遠距離バグから常に攻撃されるので、ガードで対処しよう。オススメはMAP左上。 約20秒経過すると40秒間MAP左上にLPポッドが出現する。 約75秒経過すると40秒間MAP左上にスキルポッドが出現する。 WAVE3 240秒の間にレイドボスを撃破すればクリア。 約60秒経過すると40秒間MAP左上にLPポッドが出現する。 約120秒経過すると40秒間MAP左上にスキルポッドが出現する。 バグ・ボス情報 小型バグ WAVE1のみに出現。 WAVE1開始時の近接バグは、開始一秒時点で自身から一番遠かった神姫のみ狙うAIになっている? 増援の近接バグは、サーチ範囲に一番最初に入った神姫のみ狙うAIになっている。 遠距離バグは、サーチ範囲に入った神姫(複数いる場合は一番近い神姫)を狙うAIになっている。 最初に出てくるバグなだけあって火力も耐久も控えめかと思いきや、近接バグが結構油断ならない。 攻撃頻度がこちらの近接攻撃なみに速く、見た目以上のいんちきくさい攻撃範囲を持っている。しかもダメージもそこそこある。 一度取り付かれて攻撃モーションに入られたらダメージは避けられないと思って良い。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.1? 遠距離攻撃 ? 0.25? 80? 上級 ス 体 500? 5000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 300? 0.1? 遠距離攻撃 100? 0.25? 80? 中型バグ WAVE2とWAVE3に出現。 WAVE2WAVE3開始時の近接バグは、バトル開始時点で自身に一番近かった神姫のみ狙うAIになっている。 WAVE2増援の近接バグは、サーチ範囲に一番最初に入った神姫のみ狙うAIになっている。 WAVE3増援の近接バグは、バトル開始時点で自身に一番近かった神姫のみ狙うAIになっている。 遠距離バグはどちらのWAVEも、サーチ範囲に入った神姫(複数いる場合は一番近い神姫)を狙うAIになっている。 小型バグの倍近い耐久と火力。 一回のダメージがそれなりにあり、複数出てくるのもあってダメージが積み重なりやすい。 背丈が神姫とほぼ同じだが、横幅が神姫三人分・空中に浮いているとあって、かなり大きく見える。 複数の攻撃タイプがいるが、中でも近接バグが厄介。 0.3秒~0.5秒とリキャストが速く、見た目通りの判定もあって近寄られると危険。ただし遠近バグ共に地上リアの挙動と同じ為、ホバリングを続けれる限りは近接バグの攻撃は届かない為安全である。 特にWAVE3はMAP真ん中に出現・増援するため、起動させないよう立ち回るのは不可能に近い。 上級をクリアするにはこの近接バグをどれだけ上手く対処できるかにかかっている。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー ? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2ではMAP左下と右下を担当。WAVE3にも出現 ヘビーガン ? 0.25? 60? WAVE2ではMAP右上を担当。誘導が良い ガトリング ? 0.25? 60? WAVE2ではMAP左上を担当 上級 ス 体 500? 7500? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 500? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー 500? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2ではMAP左下と右下を担当。WAVE3にも出現 ヘビーガン 400? 0.25? 60? WAVE2ではMAP右上を担当。誘導が良い ガトリング 100? 0.25? 60? WAVE2ではMAP左上を担当 大型バグ(レイドボス) 3WAVEに出現。 とにかくでかく、その巨体に見合った耐久と火力を誇る。 いずれの攻撃もダメージが大きく、近接攻撃の大半が予備動作がないのでガードは不可能。 しかも位置取りによっては一部の近接攻撃がボディに届かないので、基本的には遠距離武器の射程ギリギリから攻撃するのが安定になる。 「右脚」「左脚」「ボディ」「ウェポン」「頭」の五つから構成されている。「ボディ」以外は破壊可能。 破壊した部位に攻撃を当てると、通常よりもダメージボーナスが入る。 初級 部位 体 備考 右脚 30000? 近接武器でダメージボーナス有り 左脚 30000? 近接武器でダメージボーナス有り ボディ ? ウェポン 30000? 頭 30000? 遠距離武器でダメージボーナス有り 総合体力 120000~200000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 後ろ足で蹴る ? ? 右足で後ろに蹴りを二回。 回し蹴り ? ? 少しため動作をした後、左足を軸に右足で時計回りに一回転回し蹴り。 突進 ? 0.5? ? まっすぐ突っ込む。二回連続で突進する場合も。 レーザー ? 0.25? 80? 頭をかがめる動作をした後、ボディとウェポンの接続部からレーザーを4連射。銃口補正があまりないので、少し離れれば直角に歩いて避けれる。貫通属性 主砲 ? 無限 60? ウェポンから誘導する弾を一発。誘導性能がとても高く、股下にいても飛んでくる。 上級 部位 体 備考 右脚 150000? 近接武器でダメージボーナス有り 左脚 150000? 近接武器でダメージボーナス有り ボディ ? ウェポン 150000? 頭 150000? 遠距離武器でダメージボーナス有り 総合体力 600000~750000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 後ろ足で蹴る 1000? ? 右足で後ろに蹴りを二回。 回し蹴り 1200? ? 少しため動作をした後、左足を軸に右足で時計回りに一回転回し蹴り。 突進 1000? 0.5? ? まっすぐ突っ込む。二回連続で突進する場合も。 レーザー 1300? 0.25? 80? 頭をかがめる動作をした後、ボディとウェポンの接続部からレーザーを4連射。 主砲 1500? 無限 60? ウェポンから誘導する弾を一発。誘導性能がとても高く、股下にいても飛んでくる。 報酬 バトル参加報酬として初級は【Rネジ】×10個、上級は【Rネジ】×20個獲得できる。 WAVE1の小バグ、WAVE2の中バグを撃破する事で、一定の確率でご褒美(コンテナ)が貰える。 WAVE3は中バグの撃破数は関係なく、レイドボスの部位を破壊するごとに(最大4つ)、レイドボスを早く討伐するほど(残り150秒を切ると10秒毎に-1つ?)多くのご褒美が貰える。 レイドボスを倒せなくとも、WAVE1WAVE2に獲得した報酬と、レイドボスの部位破壊をした数の報酬は貰える。 この時点で噂されていたバトコンオリジナル神姫「闇神姫」については、レイドボスバトル(常設)にて実装された。 アップデート履歴 日時:2021.08.18 内容:期間限定イベントとして追加実装。 今回はオンライン初級・上級のみで、オフラインの実装は見送られている。 日時:2021.07.16~18 内容:公式ロケテスト。なおこれに伴い、飛鳥の先行参戦が発表されている。飛鳥とレイドボスの関係はまったくないとの事。 コメント ソロならN SR SRかな。NPCの一人編成にスキルのカーテンコールは有効なのか? -- 名無しさん (2021-08-19 04 30 09) 有効みたいですよー。控えがシュメッターリング2人ならURでも最出撃までの時間が4秒になるので、かなり有効ですよ。 -- 名無しさん (2021-08-19 07 19 59) 期間限定のイベントであってもこれ常時実装させるなら一部の武装とスキル見なおさないと其一択になるような…と言うか協力プレーだから成果は全体で共有であっても一人が大暴れする流れはもうそれオンラインでやる必要性がないようなと思える -- 名無しさん (2021-08-31 23 20 32) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1494.html
戻る トップへ 私の名前は田端 神楽。読書と妄想が趣味のピッチピチ高校一年生。 実家は山形の奥の方で、今は実家を離れ一人でアパートに住んでいる。 築何年かとか家賃とかは忘れた。全部親がやってくれたから。感謝。 ただ一つ覚えているのは、一人暮らしに十分な広さを持つ部屋だと言う事。 私の部屋が二階にある事と端から二番目だと言う事。 そして、隣の部屋の住人は同じ高校の生徒だと言う事。 そして、彼女とは読書仲間である事。 最後に、その彼女が熱を出して寝込んでいると言う事。 もひとつ最後に、今私が居るのはその彼女の部屋の扉の前と言う事。 トントン。 「田端か」 ノックとほぼ同時。嘘。少しして扉が開かれた。 この部屋の住人、戸坂 加奈美は容姿端麗素行良法、ないすばでいの美少女だ。 特徴は腰まで届く黒髪に、大きな胸。 その姿は一度見てしまえば忘れられない、そんな美味しそうなおんなのこであるはずなのだが。 「加奈美、暫く見ないうちに男みたいに」 「何ボケてんだ。とっとと入れよ」 何故かそこにいたのは短い髪をぼさぼさにした眼つきの悪い不良少年、越裏宗太だった。 何故彼がここにいるのか。もしや加奈美とあーんなことやこーんなことをしていたというのか。 「いらっしゃい、神楽……横になったままで御免なさいね」 古本屋でも開けそうな本の山。 本の山に埋もれるように加奈美は布団の中で横たわっていた。 「気にしない」 台所に立ちつくす宗太を横目に加奈美に近づく。 といっても三歩もあるけば加奈美の枕元に到着だ。 「具合は」 「ちょっと熱があるくらい……そんなに辛くはないわ」 そうは言うがな、大佐。 加奈美の頬は赤く染まり、瞳は潤んでいる。 そしてそのしなやかな肢体は布団に隠れて分らないが、襟元を見ればピンク色の寝巻を纏っているのが分る。 規則正しく上下する胸の膨らみが寝巻の襟もとから垣間見えてしまって、私の精神は臨界点を突破しそうな勢いだ。 「熱は37度弱……まぁ何時ものと同じだ」 この朴念仁め、この好機に何を悠長な事を抜かしているか。 こういう場合は部屋を訪ねて直ぐにいただきマンモス、ごちそうさマンマするのがフツーだろうに。 欲をいえば一通り終わって一息ついた頃に私が訪ねて二人であたふたして欲しい。 そうすれば私も長年の夢だった「お邪魔虫はとっとと出て行く」とか「お楽しみの途中だった」とか言えるのに。 と、そこまで考えてある事に気付いた。 「……この時期に珍しい」 加奈美は生まれつき病弱だ。出会ったのは今年だから詳しくは知らないけども。 それでも、この半年間の間に4回は寝込んでいる。 だけどそれにもある程度の法則がある。 「寒暖の差は無い……」 加奈美は季節の変わり目に決まって体調を崩す。 それは短い付き合いなれど完全に完璧に究極に熟知している。 それが、こんな気候が安定して冬にゆっくり向かう季節に熱を出すなんて、原因は激しい運動で汗たっぷりかいたとしか思いつかない。 「ええと……その……」 「まぁ、アレが原因だろうなぁ」 この反応は一体なんだ。 加奈美は恥ずかしそうに口ごもり、宗太は苦笑交じりに呟いている。 これはやはりアレか。ついに幼馴染という鎖から解き放たれたとみてよろしいですね。 「昨日な、こいつ俺と」 「宗太、あんまり詳しく話さないでよ……」 これは完全完璧究極にアレしかないじゃないですか。 同意と見てよろしいですね? 「神姫バトルしてよぉ、勝ちやがったんだよ。それで嬉しさの余りぴょんぴょん飛び跳ねてよぉ」 「……はしゃぎすぎちゃったみたい」 つまんねー。 ていうか加奈美さん、貴女子供ですか、二つの意味で。 期待して損した。ていうかこの二人がそう簡単に一線越える訳無いか。 「んじゃ、後は任せて良いか?」 このウスラトンカチめ、幼馴染の部屋に来て何もしないで帰るとは何事か。 「ええ、悪いわね宗太。今日もバイトあるんでしょう?」 「今日は休日だし、少しくらい遅れても構わねぇさ。じゃ、速く直せよ」 ちっ。加奈美の寂しそうな視線やら言葉に気付かないとはとんだフラグクラッシャーよ。 これだから男は嫌だ嫌だ。 「加奈美、汗は」 とりあえず、今は加奈美と密室に二人っきりという事象を受け入れ喜ぼう。 「ええ、少し……」 そうは言うがな、大佐。 布団越しから見てもピンクの寝巻は大分汗を吸っているように見える。 ここはやはりアレを、伝家の宝刀アレをやるべきだ。 と、頭の中で鼻血を噴き出していたその時だ。 ピピピピピピピ―――。 とっても機械的なアラームが鳴り響いたのは。 「ああ、ごめんなさいね」 身体を起こそうとしたので手を貸した。 その際、加奈美の体臭が鼻孔を擽った。やば、鼻血でそう。 そんな事とは露知らず、加奈美は本の山を枕もと周辺だけ崩した。 すると、何と言う事だろう。そこにはどうみても武装神姫が埋もれていたのだ。 「おはよう、シルフィ」 「おはよう、主」 その神姫は、クレイドルから颯爽と起き上がると加奈美に向かってそう言った。 「お客人か」 エウクランテ型と見えるその神姫は私を認めるとクレイドルから降りて、私の前に歩み出た。 「私はシルフィ。見ての通り、加奈美の武装神姫だ」 「田端神楽。加奈美のトモダチ」 「神楽殿、とお呼びしてよろしいか?」 「シルフィと呼んでも」 「ああ、私は構わない。では、今後ともよろしく。神楽殿」 「こちらこそ」 そういえば、加奈美から神姫を買ったと言うメールが来ていた。 このシルフィが件の神姫か。 加奈美に似て、とても美味しそうな神姫だ。 「二人とも、仲良くなれそうね」 加奈美が床に潜り込みながら言った。 そういえば加奈美は病人だった。 私はその看病をしにここに来ていたのだった。 「……主、具合が悪いのか?」 「ええ、昨日の夜、シルフィが寝た後に熱が出ちゃってね」 「主よ……何故私を起こさなかったのだ? 例え神姫の身と言えど、手伝いくらいは出来た筈だ」 「シルフィが気持ちよさそうに寝ていたものだから、起こしたら悪いと思ったの」 「そんなもの、主の事とは比べるまでも無いではないか」 「そう? これくらいならいつもの事だから、シルフィを起こすまでも無いと思ったんだけど……」 「そこまで」 この二人、仲が良いのは良く分かった。 だけど、ほっとくと何時までもエンドレスしそうだから早めにきりあげるとしよう。 そして、めくるめく夢のお仕事を私にやらせて頂こうか。 「加奈美の汗、拭く」 「お願いしていいかしら?」 加奈美の言葉に、無言で頷いて答える。 「私も、何か手伝おう」 シルフィが力強く言った。なるほど、この子はかなり責任感が強い娘のようだ。 しかし、神姫に出来る事は限りがある。 確かにそれだけちっちゃければあーんな事やこーんな事が自由自在だろう。 だけど、今の様な場面ではそれはデメリットにしかなりえない。 加奈美もそれを察してか、少し気まずそうな視線を泳がしている。 「案ずるな。私にはヘンデルがある」 そう胸を張りながらシルフィは言い放ち、部屋の片隅に鎮座する外骨格を纏った。 なるほど、それならまぁまぁ邪魔にはならない。 加奈美もそれを考えてか、私に視線を向けてくる。 そんな熱い視線を向けられると、色んなところがオーバーロードしそうだ。 「問題無い」 シルフィと、そして暗に加奈美に応えて軽く頷いて見せる。 ああ、加奈美が嬉しそうに笑っている。やば、色々爆発しそう。 「タオルを」 「了解した」 シルフィには汗を拭く為のタオルを頼むとして、私はぬるま湯を用意するとしよう。 台所にある薬缶に水を入れ、火にかける。 熱すぎてもぬるすぎてもいけない。万が一熱湯になれば加奈美の柔肌を傷つける事になるのだから。 「神楽殿、タオルはこれでよろしいか」 タオルを抱えたシルフィが戻ってきた。 神姫にしては大きく、人間からしたら大した大きさでは無いハンドタオルだ。 「ぐっ」 親指を立ててシルフィを肯定する。 それと同時にコンロの火を止めて、中を覗く。 温度は多分、50度くらいか。 このままでは少し熱すぎるだろう。 「洗面器を」 「了解した」 お湯を張る洗面器はシルフィに頼んだ。 だけど、それすらも時間稼ぎにはならないだろう。 薬缶の中を再び覗いてみたが、いい温度になるにはまだまだ時間がかかりそうだ。 「神楽殿、洗面器はこれで、よろしいか」 お風呂場の方からよたよたしながらシルフィがやってきた。 ヘンデルを介してもなお大きな洗面器を抱えているシルフィは、なんだかとっても微笑ましい。 「もらう」 それを直に受け取り、キッチンのテーブルの上に置く。 置いた洗面器の中に、薬缶で熱したお湯を移し変える。 洗面器の中のお湯はもうもうと湯気を噴き出している。 控えめに見ても、50度以上ある。 ……おかしいな。 「どうされた、神楽殿」 「お湯が冷めるまで待つ」 「了解した」 さて、ここでお湯に水入れて冷ましても良いけど、それはそれで面倒くさい。 ここは、ここぞとばかりに加奈美との時間を満喫しよう。 「何か飲みたいものは」 「そうね……温かい紅茶が飲みたいわ」 「分かった」 加奈美の飲みたそうなものは、大抵頭に入っていて、我が家にストックがある。 加奈美の部屋から私の部屋まで五秒もかからない。 速攻で取ってこれる。 「ああ、それとウィンとレミンにも会いたいわ」 「……分かった」 加奈美の声を背に受けて、私は加奈美の部屋を飛び出した。 外に出て一歩二歩三歩で私の部屋。 加奈美が待っている。一刻でも時間が惜しい。 この前通販で取り寄せた茶葉があった筈だ。 とりあえず、食器棚辺りからひっくり返してみよう。 「あの……司令官」 食器棚の引き出しを引っ張りだし、ひっくり返した時。 不意に背後あたりから声がかかった。 普通の人間なら聞き逃してしまいそうな声、私も危うく聞き逃してしまいそうな声。 振り返れば、そこには気弱そうに佇むヴォッフェバニーの姿が、私の第一神姫ウィンの姿が、茶葉の缶の隣に有った。 「良く分かった」 自分で言うのも何だが、私は色々なモノを無くす。 その度に部屋中引っ掻き回す事になる。 そんな折、ウィンは一番速く探し物を見つけだす。 場合によっては探し始める前に見つけ出す。今の様に。 「自分、ウサギですから……」 兎型のウィンは当然集音能力が高い。一戸隣の加奈美の部屋での会話も筒抜けだろう。 「……行く」 ジョルジの缶を開け、中の香りを一息吸い込む。 ああ、加奈美の喜ぶ顔が目に浮かぶ。 「あ、はい。お気を付けて」 相も変わらず気弱そうにウィンは言った。 さっきの会話を聞いていたならば分かることなのに。 謙虚さもここまで来るとダメダメだ。 「ウィンも」 「え? ……あ、はい!? わかりました!? 」 ウィンを頭の上に乗せて、加奈美の元へと急ぐ。 「あれ、司令官と隊長、お出かけッスか? 」 私の布団の上、雑誌を読みながらレミンが言った。 何時もなら構ってやる所だけど、今はその暇すらも惜しい。 「留守番」 そう言い残し、私は駆け出した。 「自分も行きたいッス!」 レミンがそう叫ぶころには、私は加奈美の部屋に舞い戻っていた。 「おかえり、神楽」 そんな私を出迎えてくれる加奈美の声。 甘くて、優しいその声の主に思わず抱き着きたくなるけど相手は病人、自重しよう。 「それにウィン、久しぶり」 その言葉を受けたウィンはさぞかし嬉しそうな顔をしているのだろう。 頭の上に居るウィンの表情を窺い知ることはできないが、余裕で分る。 少し妬ける。 「神楽殿は素早いのだな」 どうやってそこまで登ったのか、シルフィは台所のテーブルの上に居た。 「挨拶」 ジョルジの詰まった缶を台所に置き、頭の上に声を掛ける。 「シルフィさん……ですね。私はウィン、見ての通り司令官の神姫です……よろしく」 少し声が小さいけど、これだけ言えれば充分だろう 「こちらこそ、よろしくウィン殿。時に、何故私の名を?」 「私、ウサギ型だけに耳が良いんです……御隣でずっと聞いてましたから……」 「そうか、そうなのか……少し、気恥しいな」 「あぅ……ごめんなさい」 「いや、気にしないで欲しい」 ……内向的なウィンがここまで会話するとは、例え相手が神姫で合っても珍しい。 趣味の会うパーシでさえここまで会話は弾まないのに。 まぁ、パーシの場合の問題点はウィンにあるとは思わないが。 「シルフィは誰とでも仲良くなれるのね。嬉しいわ」 加奈美が嬉しいのなら私も嬉しい。 もとい、シルフィにはそういう人づき合いの才能があるのではないだろうか。 流石は加奈美の武装神姫だ。 「あぁ、そうだ。神楽殿」 照れくさそうにシルフィが言った。 「お湯は良い加減だと思うのだが、どうだろう」 シルフィに促されるまま、洗面器を覗いてみれば、成程。湯気の量からしてお湯の温度はそれほど高くなさそうだ。 これなら加奈美の汗ふきフィーバータイムにも使えるだろう。 だがしかし、私は加奈美のリクエストである紅茶も淹れなければならない。 加奈美は平然と会話をしていて忘れそうになるが、立派な病人だ。 熱もあるし、汗もかいている。早急に着替えさせなければまずい。 だが、加奈美自身が紅茶を飲みたいとも言っている。 病は気からと言うし、この紅茶で快復に向かう可能性も十分ある。 しかし、紅茶は何かと手間がかかるモノだ。 ただティーポッドに葉とお湯を入れて終わり、という訳では無い。 一つ言える事は、紅茶の用意をすればこの洗面器の中のお湯は確実に水になると言う事だ。 こうなったら最後の手段だ。 「ウィン、シルフィと紅茶を」 加奈美の紅茶を私自身の手で淹れられないのは少々口惜しいが、加奈美の柔肌を直に触れる方が上だ。 「あ……はい、がんばってみます」 「紅茶か……淹れた事が無いのだが、大丈夫だろうか」 「大丈夫……簡単だから」 あとは若い二人に任せて、私は加奈美とのキャッキャウフフに専念しよう。 「加奈美。汗、拭く」 最初にそう宣言してから行動を開始する。 まずは洗面器とハンドタオル。タオルは腕に引っ掛けて、洗面器を両手でしっかり持つ。 「初めに……お湯を沸かすついでにカップとポットを温めます」 「了解した」 シルフィとウィンは着々と準備を始めている。 これなら、完全にお任せして良さそうだ。 私は頑張る二人を尻目に加奈美の枕元に向かう。途中、足元に散らばる本を踏まないよう注意しながら。 「寝巻は」 次に加奈美の着替えの用意だ。 加奈美自身の汗を拭いても、汗を吸った衣類をまた着ては何の意味もない。 「何時ものでお願い」 加奈美の返答に頷く事で返し、質素なタンスの引き出しを開ける。 そこに拡がっているのは、正に桃源郷。 加奈美が普段、身につけているであろう寝巻が山と詰め込まれているのだから。 この場に誰も居なければ、目の前の桃源郷に頭から突っ込む所だけど、そんな事すらも今は後回しだ。 加奈美のお気に入り、黄色い厚手の寝巻を取り出して引き出しを閉める。 次に、タンスの一番下の引き出しを開ける。 そこには加奈美の下着が詰まっている。 華美な訳では無い。それでも、どこか優雅な雰囲気を感じる下着の山。 中から無造作に一着、取りだす。 その時、手が震えていたのは気のせいだろう。 その時、鼻血が出そうだったのも気のせいだろう。 心の準備と着替えの準備を終えた私は、加奈美へと向き直る。 視線の端にシルフィとウィンの姿が写りこんだ。 ヘンデルを装着し、お湯を沸かすシルフィ。 小さな体を駆使して、カップを用意するウィン。 彼女達は、彼女達なりに仕事をこなしている。 私も、仕事をこなすとしよう。 「脱げる?」 内心のドキドキを隠しながら、平静を装って加奈美に問う。 「ええ、それくらいなら大丈夫よ」 加奈美は熱っぽい顔で、そう言った。 加奈美がそう言うのなら、私はただ見ているしかない。 私がそんな事を考えている間に、加奈美は寝巻のボタンを一つ、また一つを外し始めた。 加奈美が指を動かす度に、その陶器のように白い肌が露になる。 首、胸、お腹、おへそ。 そして、加奈美の上半身全てが露になった。 熱のせいか、それを隠そうとも恥ずがしがろうともしない加奈美のそれを見ない様、ハンドタオルにぬるま湯を染み込ませる。 そして、余分な水分を絞りとって形を綺麗に整える。 音も立てずに加奈美の背後に移動し、呼吸を整える。 何と無しに、台所に視線を向ける。 「それじゃあ……ポッドに茶葉を入れますから、直ぐにお湯を入れてください」 「了解した」 真剣に紅茶を淹れようとする二人。 二人とも、加奈美の為に真剣に頑張っている。 それなのに、この私が煩悩ごときに屈するわけにはいかない。 「背中、から」 声は震えていないだろうか。 「ええ、よろしくね」 指は震えていないだろうか。 「……ん」 そうして、加奈美の背中に、加奈美の皮膚に、加奈美自身に私は触れた。 例えタオル越しでも解る加奈美の気配。 今までこんな近くに居るのに、初めて気付いた加奈美のにおい。 今まで見ようしなかった、加奈美の火照った横顔。 それらが全てが、私の五感を侵略する。 それらは全ては、私の正気を蹂躙する。 ……待て待て待て待て待て。 今さっき煩悩如きに屈しないと誓ったじゃないか私。 加奈美に触れただけでこんな事じゃあダメだろう私。 こうなったら素数だ、素数を数えるんだ。 2,3,5,7,9,11,13,17,19,23,29……。 …………9は素数じゃない! 「ありがとう、神楽」 加奈美の一声で、私の意識は再び覚醒した。 煩悩に打ち勝つための無の境地作戦は、暴走の危険性こそ無いけどやってる最中の事を何も覚えていないのが欠点だ。 最も、加奈美に感謝されるだけで私の心の中は薔薇色だけど。 「……気にしない」 精神を再起動しながらも、私は何とか発声出来た。 まともに発音出来たのを褒めてやりたい。よしよし。 「……布団」 布団の上に上品に座る加奈美の膝まで、かけ布団をかける。 そこまでやって私はようやく落ち着いた。 ぼやける頭を奮い立たせて加奈美の汗をたっぷり吸ったハンドタオルを洗面器に沈める。 「あ……司令官、準備……出来ました」 「……そう」 か細い声でウィンが言った。 キッチンを見れば、お盆にティーポッドとティーカップを乗せる二人が見えた。 そして、シルフィはその盆を持ったまま、椅子やごみ箱を踏み台にしつ器用に床へと着地した。 「10点」 その華麗な体捌きに、私は10点満点の賛美を。 「……ヒヤヒヤしました」 ウィンは心底安心し、胸を撫で下ろした。 加奈美は加奈美で、その様子を楽しそうに眺めている。 とっても微笑ましい光景だが、加奈美は自分が病人だという事をもう少し自覚して欲しい。 そんな事を考えている間にも、シルフィはサクサクと歩みを進めていく。 彼女の姿が力強く見えるのは、ただ単にヘンデルを纏っているからではないだろう。 私は洗面器の縁をなでなでしながら、シルフィの勇姿を見学する。 真一文字に引き締められた唇、真剣な眼差し。 まるで戦士のような気迫を感じさせる半面、とてもほほえましいものも感じる。 そう、それはまるで親の手伝いをして、誉められるのを心待ちにする子供の様だ。 それはまるで、純粋な子供の純粋な善意の様だ。 それはまさに、純粋な騎士の純粋な忠誠の様だ。 どこまでも真っすぐで、どこまでも真っすぐに。 ただ主に喜んでほしい、ただ主に褒めてほしい。 それだけを望み、そのために頑張る。 だからその姿が、そのシルフィの姿が微笑ましく思うのかもしれない。 「シルフィ、もう少しよ」 加奈美の声に、シルフィの表情が綻んだ。 ああ、なんて心癒される空間だろうか。 「主よ……お待たせした……」 シルフィが加奈美の手前、残り数歩と言ったところか。 丁度私が二人の真ん中に居るような位置で、それは起きてしまった。 シルフィの気が緩んだのか、それとも足元に何かがあったのかは分らない。 ただ一つ確かな事は、シルフィが熱々の紅茶が乗っている盆を持ったまま、転んだという事。 その瞬間、シルフィの表情が一変し、絶望一色に染まった。 それと同時、加奈美の顔色も変った。 それはシルフィが失敗した自分を責めると見抜いているから。それを、見たくないからだろう。 「うわぁ!」 キッチンでウィンの悲鳴が響いた。 それを聞いた瞬間、私のスイッチが入った。 手元のハンドタオルを取り、立て膝の要領で一歩前に踏み出す。 そして、すぐさま身体を左に半転。 すると丁度、シルフィの手から離れた盆が私目掛けて飛んでくる体勢になる。 盆の上にあるのはティーポッドとティーカップ。その中で最も気をつけなくてはならないのはティーポッドだ。 中にはほぼ熱湯と言っても差支えない紅茶が詰まっているだろうそれを、万が一加奈美が被れば素で火傷だ。 だから、第一に私は持ったハンドタオルでティーポッドを包み込む。 それと同時にタオル越しに口を右手の人差指で、同じく親指で蓋を押える。 出口と入口を押さえてしまえば、紅茶は外に漏れる事は無い。ただ、口を押さえた指が凄く熱いけどそんな事は言ってられない。 次はカップだ。熱湯は入っていないとは言え、割れたりしたら破片が飛び散って、それで加奈美が怪我をするかもしれない。 気を利かせてくれたシルフィは、盆の上に私と加奈美の分のカップを乗せてくれている。 その心遣いに感謝しながら、左手の親指と人差し指で二つのカップを挟み取る。 ティーポットに比べれば、難易度は月とスッポンだ。 最後に、飛んできた盆をお腹で受け止めて膝で挟んで終了だ。 「……シルフィ、お疲れ」 「え……? あ……か、神楽殿!?」 シルフィに労いの言葉をかけてから、盆を床に降ろす。 その上にカップとポットを置いて、タオルを洗面器に戻す。 一応、カップに罅とか入ってないか確かめて、紅茶を注ぐ。 ……幾らしたっけなぁ。 「飲む」 「ええ、頂くわ」 加奈美が凄い優雅で華麗な動作で紅茶を一口含んだ。 何だろう。この胸のざわめきは……恋? 「美味しいわ、シルフィ」 まるで天女と女神と大地母神を足して3で割って10かけたような笑顔で加奈美は言った。 もう色々とオーバーヒート起こしてオーバーフリーズもしてしまいそうだ。 「あ、主……私は……」 シルフィがまるで叱られる子供のように口を開く。 なんだかそっち側の趣味に目覚めてしまいそうなくらい可愛いなぁ。 「シルフィ、ありがとう」 そんな眩しい笑顔でそんな事言われたら、私だったら卒倒するね。 「主……いや、当然のことをしたまでだ」 気丈にシルフィはそう言った。 けど、私からは見えた。シルフィが涙を拭うのを。 「加奈美、お大事に」 「ええ、ありがとうね。神楽」 あれから少し。 私は紅茶を一杯頂いたし、加奈美の具合も良くなって来たので帰る事にしたのだった。 「……お大事に」 私の頭の上でウィンが呟いた。 一番近い私でやっと聞こえる程度の声なのに、加奈美はそれを掬い上げる。 「ありがとう、ウィン。紅茶、美味しかったわ」 その言葉に、ウィンはえへへ、と嬉しそうに笑った。 「神楽殿……」 加奈美の肩の上でシルフィが何か言いたそうに呟いた。 彼女は起動間も無い武装神姫だ。こういう時に何と言っていいのか分からないのだろう。それは私に取っても同じだ。 ただ一つだけ違うとすれば、私は何をすれば良いのかが分かる事くらい。 「シルフィはいい子」 それが正解かどうかは分からない。 だけど私は、シルフィの頭を撫でて褒めてあげる事を選択した。 「……神楽殿、ウィン。今日はありがとう」 シルフィと加奈美の笑顔に見送られ、私は徒歩三歩の自宅へと帰還した。 「ふぅ……」 間取りは同じ、ただそこにいる人間だけが違う部屋。 隣の加奈美の部屋が本で溢れている様に、逆隣のあの人の部屋が神姫で溢れている様に、私の部屋は銃に囲まれている。 ウィンを頭に乗せたまま、布団に向かって身体を倒す。 「ぐぇ!」 布団の上でごろごろしていたレミンを押し潰し、私は布団にの上、俯せに突っ伏した。 ウィンは私が倒れる寸前に飛び降りて、私の顔を覗き込んでいる。 「司令官……音、拾いますか?」 横目で加奈美の部屋を捉えながらウィンが言った。 何時もなら、即座に肯定している所だけど。 「必要無い」 「……いいんですか?」 ウィンが怪訝そうに言った。 恐らく、ウィン自身が隣の様子が気になるのだろう。 「第四級警戒体制、異常発生時報告」 「了解です」 即座に敬礼をしたウィンは壁に寄り掛かり目を閉じる。 きっと壁の向こう側では、加奈美とシルフィが話をしている。 シルフィは多分、加奈美に謝っているだろう。 紅茶を溢しそうになった事を、役に立てなかった事を。 それを悔いるだろう。もしかしたら泣いているかもしれない。 だけど、加奈美はこう言うだろう。 シルフィは私の為にやってくれた。それだけで充分。結果なんて関係無い、と。 だから、私は聞く必要が無い。 「司令官、いきなり何するッスか!」 お腹の下からレミンが這い出て来るなり文句を言う。 だけど、私はそれに応えない。 その代わり、周りに散らばる拳銃の中からマウザーミリタリーを取り上げた。 グリップを握り、マガジンを詰め、セーフティを外し、トリガーを引く。 「ばん」 窓に向けられたマウザーが、がちゃりという虚しい音だけを撃ち出した。 右手の親指が、少し疼いた。 「……司令官」 不意に、ウィンが口を開いた。少しだけ、焦りの様なものが見える。 「加奈美に電話がかかってきました」 「相手は」 「小さくて良く分かりませんが……男性かと」 その単語に、身体が一瞬強張る。 馬鹿幼馴染にしても、今はバイト中でそんな余裕は無い。 「……あ」 とか何とか考える前に、間の抜けた声でウィンが言った。 「どうしたの」 「えーと……その……」 少しおどおどし、気まずそうにするウィン。 そして、意を決したようにこう言った。 「加奈美の……お爺様からでした」 私は近くにあったBB弾を手早くマガジンに装弾し、銃口をウィンに向けた。 「し、司令官!?」 「何事ッスか!?」 「誤情報は銃殺」 私の部屋に、乾いた発射音が木霊した。 トップへ 進む -